HH-53 (航空機)

HH-53 ペイブロウIIIについて

HH-53ペイブロウIIIは、アメリカのシコルスキー・エアクラフト社が製造した大型のヘリコプターで、主に戦闘捜索救難（CSAR）任務や特殊作戦に利用されています。元々は、CH-53という大型輸送ヘリコプターをベースに開発された機体です。これがHH-53B/Cという型式に発展し、その後、MH-53J/Mへと進化しました。

それまでの経緯

ベトナム戦争では、アメリカ空軍は初めにH-43ヘリコプターを使用していましたが、その性能には限界がありました。これに代わって、HH-3Eという新しい機体が開発され、柔軟な任務遂行が可能になったものの、厳しい環境では依然として性能不足が目立ちました。

そこで、アメリカ空軍は海兵隊の最新の輸送ヘリコプター「CH-53 シースタリオン」に注目しました。CH-53Aを基に改良が加えられ、HH-53BとHH-53Cが開発されました。特に、こちらのモデルは「スーパージョリーグリーン」という愛称で親しまれるようになりました。

ペイブスター計画とLNRS

HH-53Cの運用が始まると、さらなる夜間や悪天候時の作戦能力が求められました。1967年には、空軍がシコルスキーにこれを実現するためのミッションシステム「ペイブスター」の開発を依頼しましたが、設計に多くの手間がかかり、1970年には計画が中止されました。その後、余剰予算は新たにLNRS（Limited Night Recovery System）という計画に振り分けられ、これによって一部のHH-53C機材が夜間作戦でも使用可能になりました。

HH-53H ペイブロウIIIとその進化

1972年からはペイブロウ計画が始まり、NNRSの運用試験をふまえてさまざまな改良が加えられました。特に、陸軍から調達した地形追従レーダーを装備し、運用試験を実施しました。これを基にペイブロウIIとIII計画が進められ、1979年にはHH-53Hとして正式に改称された機体が引き渡されました。

その後、特殊作戦の役割を強化するため、MH-53Jとして様々な改良が実施され、新しい電子機器や防御システムが追加されていきました。また、ハニーバジャー作戦や他の特殊作戦においても、多くのHH-53H機が活躍しました。

MH-53M ペイブロウIVの登場

さらに進化を続け、1998年にはMH-53Mとして、新たな防御アビオニクスシステムが搭載されることになりました。このシステムにより、機体の状況認識能力や脅威への対処能力がさらに強化され、これまでの運用歴においても重要な機体となりました。

2008年までにCV-22Bオスプレイへ更新され、ペイブロウIIIシリーズの運用は終了しました。

映画やゲームに登場

HH-53ペイブロウIIIは映画やゲームにも多く登場し、『ジャッカル』や『トータル・フィアーズ』などの作品で使用されました。また、『コール オブ デューティ』シリーズでも登場し、プレイヤーに親しまれています。

結論

HH-53 ペイブロウIIIは、戦闘捜索救難任務や特殊作戦において重要な役割を担った歴史的なヘリコプターです。その多用途性や装備の優れた性能により、アメリカ軍の戦術に大きな影響を与え、戦場における救難作戦を進化させました。

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