HOBBY's JUMP

『HOBBY's JUMP』（ホビーズジャンプ）は、集英社より1983年から1988年にかけて刊行された『月刊少年ジャンプ』の増刊号です。全16号という短い期間でしたが、現在の『Vジャンプ』へと続く歴史を刻んだ、少年層を対象とした多様な情報を掲載する雑誌でした。

その内容は、漫画作品はもちろんのこと、当時の少年たちに人気の高かったコンピュータゲーム、プラモデル、ラジコンといったホビー情報が充実していました。特にコンピュータゲーム情報では、ファミコン、MSX、セガ・マークIII/セガ・マスターシステムと、当時主流だった家庭用ゲーム機をバランス良く取り上げていた点が特徴です。

さらに、雑誌の後半には、メンズファッションに関する記事も掲載されるなど、少年誌の枠にとらわれない幅広い情報を提供していました。また、パソコンソフトの紹介コーナーでは、少年誌としては異例と言える『天使たちの午後』や『ロリータシンドローム』といった、アダルトゲームも堂々と紹介していた点が特筆すべきでしょう。当時としては、かなり大胆な編集方針だったと言えるかもしれません。

掲載されていた漫画作品も魅力的で、秋本治氏による『プラモ道入門』や、ビッグ錠氏による『パソコンワールド』など、それぞれの分野を代表するような作品が数多く掲載されていました。矢野健太郎氏による『ネットワーク戦士』は、当時最先端技術であった音響カプラを用いたパソコン通信を題材にしたSF作品で、『ホビーズジャンプ』中期から連載され、後年、学研のノーラコミックスから単行本化されています。これは、雑誌のテクノロジーに対する先進性を示す一例と言えるでしょう。

あおきけい氏による『われらホビーズ』は、ラジコンや自転車、TVゲームを題材としたショートギャグ漫画で、後に『月刊少年ジャンプ』にて『われらホビーズファミコンゼミナール』としてスピンオフ連載されるなど人気を博しました。これらの作品群は、単なるホビー紹介にとどまらず、当時の少年たちの生活や関心に深く寄り添った内容であったと言えます。

『HOBBY's JUMP』は、単なる漫画雑誌ではなく、当時の少年たちの多様な趣味や関心を網羅した、時代を反映した雑誌でした。ゲーム、プラモデル、ラジコン、そしてファッション、さらにはパソコン通信といった幅広い情報を掲載することで、少年たちの興味を刺激し、多くの読者から支持を得ていたと言えるでしょう。また、アダルトゲームの紹介など、現在の視点から見ると驚くべき内容も含まれており、当時の出版界の自由さや、時代の変化を感じさせる貴重な資料となっています。

現在では入手困難な雑誌ではありますが、『HOBBY's JUMP』は、日本のサブカルチャー史、特にゲーム文化やホビー文化の発展において、重要な役割を果たした雑誌として、今後もその存在価値は失われることはないでしょう。

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