He 277 (航空機)

ハインケルHe 277: 設計と歴史

ハインケルHe 277は、第二次世界大戦中に設計された長距離の重爆撃機であり、ドイツ空軍のHe 177を基にした派生機として知られています。本機は4発のエンジンを搭載するように設計されており、エンジンの配置がHe 177とは異なる点が特徴です。He 177がダイムラー・ベンツDB 606エンジン（実際にはDB 601エンジンを2基連結したもの）を2基搭載していたため、しばしば出火やオーバーヒートの問題を抱えていたのに対し、He 277は4基のBMW 801Eエンジン（14気筒の星型エンジン）を搭載する計画でした。しかし、戦争後期における航空産業の悪化や製造施設の不足、そして他社製の長距離爆撃機との競争の影響により、結局、この機体は量産されることはありませんでした。

He 177Bとの論争

戦後、多くの航空機の歴史に関する書籍にはHe 177BとHe 277の関係に関する論争が見られます。1942年8月にはゲーリングが「He 177Aは独立した4基のエンジンを持つべきだ」という意見を述べており、連結エンジンに対しては「エンジンを溶接しているかのようだ」と批判しています。ゲーリングはまた、ハインケルによる本格的な4基エンジンのモデルが開発されることを望んでいる旨が記されています。

戦後の記録においても、1943年2月にRLMがまとめたHe 177の開発計画はA-5重爆撃機、A-6高々度爆撃機、A-7長距離爆撃機、そしてHe 277に関する記述があり、He 177Aが連結エンジンを必要とするとされたことは、急降下爆撃能力を求める要求に影響を及ぼしました。ハインケル社はその後、He 177Bの研究を開始し、この時期に新たな開発が進められていたのです。

He 277の設計特徴

He 277はその設計において優れた特性を持ち、133m²の翼面積を持つ高翼設計が採用されました。離昇出力は1,471kW（1,973hp）という強力な4基のBMW 801Eエンジンを予定しており、着陸装置は引き込み式か、2輪の主脚が計画されてました。さらに、視界の良いコクピットは「温室」と称され、機首から胴体上部にかけて広がっています。空力的な安定性を確保するために、2枚の尾翼が設計の一部に組み込まれました。

防御装備としては、機首に遠隔操作の銃塔を持つ20mmMG 151/20機関砲、背部に2連装機関砲を装備する銃塔がいくつかあり、尾部にも13mmMG 131機関銃が設置される予定でした。

競争する爆撃機設計

He 277を設計している間、ハインケルは他社の重爆撃機との競争にさらされていました。その中にはフォッケウルフ社のFw 300、ユンカース社のJu 390、メッサーシュミット社のMe 264、そしてハインケル自身のHe 274とHe 177の改良型が含まれます。これらの機体は全てが大規模な4発の重爆撃機として高い性能が保証されていました。

He 277の初期設計では、生産性を重視しており、ライセンス生産が可能なアプローチが採用されました。これにより、限られたドイツの生産設備で「アメリカ爆撃機計画」の基準を満たす長距離爆撃機の供給が可能とされました。

ただし、アメリカの介入に伴い、ドイツ空軍は重武装の長距離爆撃機の必要性を強く認識し、4発機では力不足との判断から割合が増加し、より大きな爆撃機が必要と認識されました。これはメッサーシュミット社が提案した6発機の

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