Hi-Fi

Hi-Fi（ハイファイ）とは

Hi-Fiとは、High Fidelity（高忠実度）の略で、音響機器において「原音に忠実な再現」を意味する言葉です。録音・録画された音や映像を再生する際に、ノイズや歪みを最小限に抑え、オリジナルの状態をどれだけ正確に再現できるかを示します。映像分野では高精細度（ハイデフ）という言葉が使われます。

Hi-Fiの歴史

1920年代に電気的な音声記録・再生技術が登場して以来、レコードの音質向上、ラジオの普及と共に、より高音質な再生を求める動きが活発になりました。1930年代には、RCAビクター社が「RCA Victor High Fidelity Recording」という高音質レコードを発表し、他社も追随。この頃から「High Fidelity」という言葉が広く使われるようになりました。

1950年代以降、オーディオ業界が発展する中で、高音質を追求した家庭用オーディオシステムが「ハイファイ・オーディオ」と呼ばれるようになり、一般的なオーディオ製品と区別されました。特に、レコードプレーヤーやコンポーネント[[ステレオ]]などがハイファイ・オーディオの代表格です。

コンポーネント[[ステレオ]]の時代

オーディオ[[マニア]]たちは、より原音に忠実な音を求めて、アンプ、チューナー、テープデッキなどを個別に揃えるコンポーネント[[ステレオ]]を追求しました。各社の製品は互換性があり、自由に組み合わせることができました。また、FMステレオ放送のエアチェックも、高音質な音源として重宝されました。

デジタルオーディオの登場

1980年代に入ると、CDが登場し、デジタルオーディオ時代が始まりました。これにより、誰でも手軽に高音質な音楽を楽しめるようになりました。しかし、CDの登場は、より高品質な再生装置へのニーズも生み出し、フルサイズコンポの需要も一定割合で残りました。

ミニコンポの進化

場所を取るフルサイズコンポに対し、小型のミニコンポが人気を集めましたが、当初は音質面で劣っていました。しかし、1990年代に入り、半導体技術の進歩により、ミニコンポでも高音質を実現できるようになりました。DENON「PRESTA」シリーズ、ケンウッド「K's」シリーズ、ONKYO「INTEC185」シリーズなどが登場し、日本の住宅環境でもHi-Fiオーディオが手軽に楽しめるようになりました。

現在のHi-Fi

近年では、ベビーブーマー世代の可処分所得が増加したことや、DVDの普及に伴うホームシアター需要の高まりから、Hi-Fiオーディオ機器の需要が再び高まっています。一部のメディアでは、「新たなHi-Fi時代の到来」が期待されています。

ビデオデッキにおけるHi-Fi

ビデオデッキでも、音声信号の記録方法にHi-Fi技術が導入されました。初期のビデオデッキでは、固定ヘッドで音声を記録していたため、音質はあまり良くありませんでした。そこで、回転ヘッドで映像信号と一緒に音声を記録する「ハイファイビデオ」が登場しました。

Hi-Fi音声の仕組み

ハイファイ音声は、FM変調された音声信号を映像信号と同じ周波数帯域に重ねて記録します。これにより、従来の音声記録方式に比べて飛躍的に高音質化されました。また、長時間録画モードでも音質劣化が少ないというメリットがありました。

Beta Hi-FiとVHS Hi-Fi

ソニーのベータマックスでは「Beta hi-fi」が、松下電器産業（現パナソニック）のVHSでは「VHS Hi-Fi」が採用されました。Beta hi-fiは、音声信号を映像信号の隙間を利用して記録するため、画質に影響が出るという欠点がありました。一方、VHS Hi-Fiは音声信号と映像信号を別々のヘッドで記録するため、互換性に難があるという欠点がありました。

8ミリビデオのHi-Fi

後発の8ミリビデオでは、当初からハイファイ音声が規格化されました。画質低下や互換性の問題がなく、比較的安定した高音質を実現しました。初期はモノラルでしたが、後にステレオ化され、PCMデジタル音声も採用されました。

まとめ

Hi-Fiは、常に高音質を追求する技術の進歩とともに変化してきました。かつては高級オーディオの代名詞でしたが、デジタル技術の進歩により、より身近なものとなりました。現在では、ハイレゾ音源など、新しい技術も登場しており、これからもHi-Fiの概念は進化を続けるでしょう。

関連項目

Lo-Fi
高級オーディオ
ハイレゾリューションオーディオ
Wi-Fi
ハイニッカ
ランチア

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