Hs 123 (航空機)

Hs 123について

Hs 123は、ドイツの航空機メーカーであるヘンシェル社が製造した、複葉の急降下爆撃機です。この機体は、1936年の夏からドイツ空軍に部隊配備され、1938年の秋まで生産が行われました。Hs 123は、ドイツ空軍の初期の急降下爆撃機としての役割を果たし、多くの戦場で活躍しました。

開発の背景

1933年、ドイツ航空運輸委員会の技術局は、急降下爆撃機の開発を指示しました。その中でヘンシェルとフィーゼラーの2社が選ばれ、ヘンシェルが設計を引き受けた結果、Hs 123が誕生しました。この開発プロジェクトは、2段階に分かれており、第1段階では650hpのBMW 132空冷エンジンを搭載した単座複葉機の開発が進められ、これはHs 123の前身にあたります。

Hs 123は、翼間の支柱を板状にデザインし、翼間の張り線を最小限に抑えることで、空力的に優れた特性を持っていました。しかし、試作機のうち2機が急降下試験中に主翼の構造破壊によって墜落する事故が発生しました。このため、主翼中央部を強化した改良型の試作機が製作され、無事にテストを終えた結果、量産が決定されました。

生産は1936年に始まりましたが、後継機であるJu 87A-1の配備が1940年に進むにつれて、Hs 123の生産は縮小され、最終的に1938年に終了しています。この間、エンジンの強化型や武装の強化を図った試作型も存在しましたが、量産には至りませんでした。

実戦での活用

最初の量産型であるHs 123A-1は、1936年のスペイン内戦でコンドル軍団にて使用されました。特に急降下爆撃任務よりも地上部隊への近接支援任務においてその真価を発揮しました。その後、Ju 87の配備が進むにつれ、Hs 123は次第に前線から後退するものの、1939年のポーランド侵攻や1940年の西方電撃戦にも投入されました。

特に東部戦線では、機体の頑丈さと扱いやすさから高く評価され、多くの任務に従事しました。戦闘機としての機能ばかりでなく、対地攻撃や地上支援ができる機体としての需要が高まり、実戦部隊からは再生産を求める声もあがりました。残念ながら、これは生産ラインが閉じた後の要望であり、実現することはありませんでした。Hs 123は、1944年の春まで戦線に留まりました。

主要諸元

以下は、Hs 123A-1型の主要性能です：

• - 全長: 8.3 m
• - 全高: 3.2 m
• - 全幅: 10.5 m
• - 自重: 1,504 kg
• - 最高速度: 341 km/h (高度1,200m)
• - 巡航速度: 315 km/h (高度2,000m)
• - 上昇率: 899 m/min
• - 実用上昇限度: 9,000 m
• - 航続距離: 850 km
• - エンジン: BMW 132DC 空冷星形9気筒エンジン（880馬力）×1
• - 乗員: 1名
• - 武装: MG-17 7.92 mm機銃×2、50kg爆弾×4または20 mm機関砲パック×2

派生型

• - Hs123V1: 原型機でNACA型カウリングとBMW 132A-3エンジン（650hp）を搭載。
• - Hs123V2～V3: カウリング形状の変更と三翅プロペラの採用。どちらも墜落事故に。
• - Hs123V2: 主翼中央部を強化した試作4号機。
• - Hs123A-1: BMW 132DCエンジン（880hp）を搭載した量産型。
• - Hs123B: 出力強化型でBMW 132 Kエンジン（960hp）。試作機1機のみ。
• - Hs123C: 武装強化型で、密閉式キャノピーを持ち、下翼に機銃を2丁追加。

使用国

• - ナチス・ドイツ
• - スペイン
• - 中華民国（中国大陸時代） - 日中戦争時にSpainから輸入され、日本軍に対する攻撃に使用された。

登場作品

ゲーム『鋼鉄の虹 〜Die Eisenglorie〜』や『鋼鉄の虹 パンツァーメルヒェンRPG』に登場し、A-1型がグリューネラント軍の爆撃機や練習機として描かれています。この機体はドイツからの貸与品で、ライセンス生産は行われていません。

関連項目

• - 急降下爆撃機

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