I Will... (アルバム)

来生たかお『I Will...』

『I Will...』は、1986年にリリースされた来生たかおの12枚目のオリジナル・アルバムです。歌手デビュー10周年を記念して制作され、LP、CT、CDの3形態で発売されました。

概要

デビュー10周年という節目にリリースされた本作は、来生にとって新たなスタートを切る意味合いを持つ作品となりました。アルバム制作は、同時期に開催された10周年記念コンサート『来生たかお10th ANNIVERSARY “ELEVEN NIGHT THEATER”』によって一時中断。コンサート終了後、来生は疲労困憊の中、伊豆のスタジオに籠って制作を再開したというエピソードがあります。

前作、前々作が少年時代や青春時代をイメージしたものであったのに対し、本作は10周年を機に“今”をテーマに制作されました。サウンド面では、1970年代のアメリカン・ポップスを意識し、若々しく前向きなイメージが打ち出されています。ジャケット写真で使用されたリンゴは、撮影後スタッフがおいしくいただこうとしたものの、何度も地面に落としてしまったため、結局食べられなかったという裏話も。

各種復刻盤

『I Will...』は、これまでに何度か再発されています。

1991年4月25日：CD（規格品番：KTCR-1057）
1995年7月21日：CD選書Q盤として高城賢によるデジタルリマスター化（規格品番：KTCR-1567）
2007年3月21日：21枚組CD-BOX『来生たかお大全集』（規格品番：UPCY-6355/75）に1995年版を収録（規格品番：UPCY-6366）

収録曲について

アルバムには、来生えつこが作詞を手掛けた全10曲が収録されています。各楽曲には、来生姉弟ならではの感性が光るエピソードが満載です。

WE WILL: 10周年記念作品としてのメッセージが込められた楽曲
Simply: 来生たかお自身が“今の僕にぴったり来る”と語る、日常的な情景を歌ったナンバー
恋のHard Days: 若々しい歌詞と、ビートルズ「A Hard Day's Night」を意識した派手なアレンジが印象的な楽曲
夢の加速: 来生たかお夫婦をイメージした男女が登場する、ロマンティックな一曲。来生自身も妻に歌ってあげたい楽曲として挙げています。
森への地図: セルゲイ・プロコフィエフの『ピーターと狼』のようなメロディーからインスピレーションを得た、幻想的な雰囲気の楽曲
フェアウェル: 20枚目のオリジナル・シングル。来生えつこが作詞に苦労したというエピソードがあります。
DOUBT: 来生えつこが以前から使ってみたかった“Doubt”という言葉をタイトルに用いた楽曲
夏色の彼方: 来生えつこが本アルバムの中で一番気に入っているという、セピア色の世界を感じさせる楽曲
水の抱擁: 雑誌で見た“紫色のハーバー”の写真からインスピレーションを得て、初めて歌詞に“港”が登場する、大人の恋を描いた楽曲
* 夢のスケッチ: タイトルと歌詞を改変した「あなたの声を聞いた夜」が、斉藤由貴のアルバムに提供曲として収録されています。

参加ミュージシャン

アルバムには、清水信之、武部聡志、久石譲など、豪華なミュージシャンが参加しています。彼らの演奏が、来生たかおの楽曲をさらに魅力的なものにしています。

まとめ

『I Will...』は、来生たかおの音楽キャリアにおける重要な作品であるとともに、1980年代の日本のポップスシーンを代表する一枚と言えるでしょう。来生の新たなスタートへの決意と、70年代アメリカン・ポップスへの憧憬が融合した、聴きごたえのあるアルバムです。

もう一度検索