I-stop

マツダのアイドリングストップシステム「i-stop」：環境性能と快適性の両立

マツダが開発した「i-stop」は、革新的なアイドリングストップシステムです。2009年、2代目アクセラへの搭載を皮切りに、多くのマツダ車に採用され、環境性能の向上に貢献しています。本稿ではi-stopの技術的な特徴、搭載車種、そしてマツダの環境技術戦略における位置付けについて詳しく解説します。

i-stopの技術的な仕組み

一般的なアイドリングストップシステムは、セルモーターを使用してエンジンを再始動します。これに対し、i-stopは独自の技術を採用することで、セルモーターに頼らない再始動を実現しています。

i-stopのポイントは、停車時にシリンダー内のピストンを最適な位置に停止させる点にあります。これにより、再始動に必要なエネルギーを最小限に抑え、素早い再始動を可能にしています。具体的には、圧縮行程と膨張行程の中間地点でピストンを停止させ、シリンダー内の空気量のバランスを維持。そして、シリンダー内に直接燃料を噴射し、着火することでエンジンを再始動します。この再始動時間はわずか0.35秒と、非常にスムーズな動作を実現しています。

当初、マツダはセルモーターを使用しない「SISS（スマート・アイドリング・ストップ・システム）」を開発していましたが、エンジン停止時の回転数上昇による燃費悪化や振動問題が課題でした。そのため、i-stopではセルモーターを併用し、さらに補助バッテリーを2個搭載することで、これらの問題を解決しています。

ディーゼルエンジン搭載車への適用においても、i-stopは独自の技術で高い性能を発揮します。ガソリンエンジンとは異なり、点火プラグを使用しないディーゼルエンジンでは、通常2圧縮目以降で着火・再始動が行われます。しかし、i-stopはピストン停止位置を精密に制御することで、1圧縮目での着火・再始動を実現。その再始動時間は0.4秒と、世界最速レベルの性能を誇ります。

i-stop搭載車種

i-stopは、マツダの幅広い車種に搭載されています。代表的な車種としては、以下のものが挙げられます。

マツダ・デミオ
マツダ・アクセラ
マツダ・MAZDA3
マツダ・プレマシー
日産・ラフェスタ ハイウェイスター
マツダ・ビアンテ
マツダ・CX-5
マツダ・アテンザ
* マツダ・CX-3

これらの車種以外にも、多くのマツダ車にi-stopが搭載されており、マツダの環境技術戦略における重要な役割を担っています。

マツダの環境技術戦略におけるi-stopの位置付け

i-stopは、マツダの環境技術戦略「SKYACTIV TECHNOLOGY」の中核をなす技術の一つです。SKYACTIV TECHNOLOGYは、エンジン、トランスミッション、ボディ、シャシーなど、クルマ全体を革新的に進化させる技術群です。i-stopは、このSKYACTIV TECHNOLOGYによって実現された高効率エンジンと組み合わせることで、燃費向上に大きく貢献しています。

また、i-stopは単なる燃費向上技術にとどまらず、ドライバーにとって快適な運転体験を提供する技術でもあります。スムーズな再始動により、運転のストレスを軽減し、より快適なドライブを可能にしています。

マツダは、i-stopをはじめとする環境技術の開発を通じて、環境性能と運転の快適性を両立させることを目指しています。i-stopは、その取り組みを象徴する技術と言えるでしょう。

まとめ

マツダのi-stopは、セルモーターに頼らない独自の再始動技術と、精密なピストン制御によって、スムーズで高速なエンジン再始動を実現する革新的なアイドリングストップシステムです。ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン双方への適用、そして多くのマツダ車への搭載実績は、その高い信頼性と実用性を示しています。i-stopは、マツダの環境技術戦略において重要な役割を担い、環境性能と運転快適性の両立に大きく貢献しています。

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