ICab

iCab（アイキャブ）は、Alexander Clauss氏によって開発された、macOS向けのウェブブラウザです。元々は、Atari ST向けに開発された「Crystal Atari Browser (CAB)」をMacintoshに移植したもので、初期バージョンでは独自のレンダリングエンジンを搭載していました。

歴史

初期のiCabは、CSSやDOMなどのウェブ標準技術には対応していませんでしたが、バージョン3.0でCSS 2とUnicodeをサポートするようになりました。その後、バージョン4.0以降では、レンダリングエンジンがWebKitに置き換えられ、Safariと同等のレンダリング能力を獲得しました。この変更により、現在のiCabは初期のCrystal Atari Browserとは全く異なるものとなっています。

特筆すべき点として、2009年6月7日には、iCab 4.6がAcid3テストで100/100の満点を初めて達成したウェブブラウザとなりました。しかし、その翌日にリリースされたSafari 4が、Acid3を初めて満点で通過した正式版ブラウザとして広く認識されています。

バージョン

iCab 2.x:
開発は既に終了していますが、ダウンロードや登録は可能です。最終版のiCab 2.9.9は、Mac OS 7.5から9.2.2、および68k版のMacintoshに対応しています。

iCab 3.x:
こちらも開発は終了していますが、ダウンロードと登録は可能です。Mac OS Xに対応した最初のiCabであり、Universal Binary化によってIntel Macにも対応しました。レンダリングエンジンはCSS 2とUnicodeをサポートし、最終版のiCab 3.0.5はMac OS 8.5から9.2.2、Mac OS X 10.1.5から10.5.x（PowerPC版・Intel版）に対応します。

iCab 4.x:
2012年7月時点で開発が継続されていたバージョンです。ソースコードがCocoa APIで書き直され、レンダリングエンジンがWebKitに置き換えられました。2012年6月時点の最新版であるiCab 4.9は、Mac OS X 10.3.9から10.4.x（PowerPC版・Intel版）に対応していました。

iCab 5.x:
2018年9月時点での最新版です。OS X Mountain Lion以降のGatekeeperに対応する署名が追加されています。2020年3月にリリースされた最新版5.9.2は、Mac OS X Lion 10.7からmacOS Catalina 10.15に対応しています。

iCab 6.x:
2024年現在の最新版で、2020年9月にリリースされました。macOS High Sierra 10.13以降でのみ動作し、新しいエンジンにより高性能化・高速化を実現しています。Apple M1チップにも対応しています。

iCab Mobile

iCab Mobile（アイキャブ・モバイル）は、同じくAlexander Clauss氏が開発したiOS向けのウェブブラウザです。ユニバーサルアプリとして、iPhone、iPod touch、iPadに対応しています。Mobile Safariでは行えないような幅広いカスタマイズや、様々なウェブアプリ、iOSアプリとの連携が特徴です。かつては、独自のヘッダを加えたJavaScriptベースのユーザーエクステンションをWebページ上からインストールすることができました。

その他

iCabはナグウェアとして提供されており、登録を行わない場合は、Pro版へのアップグレードが定期的に求められます。

外部リンク

iCab
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