IMI 120mm戦車砲

IMI 120mm戦車砲

IMI 120mm戦車砲は、イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ（IMI）によって設計・製造された、44口径の滑腔戦車砲です。この砲は、イスラエル国防軍のメルカバMk3主力戦車のために1983年から1988年の期間に独自に開発されたものであり、ラインメタルのL44 120mm戦車砲のライセンス生産品と誤解されがちですが、実際には全く異なる設計です。105mm口径の戦車砲を装備していた従来のメルカバやM60パットンにも取り付け可能な構造が特徴です。

1989年には、メルカバMk3の主砲としてその存在が知られることになり、IMIが独自に設計・製造した戦車砲としては1990年にイスラエル防衛賞が授与されるに至ります。これは、イスラエルの防衛産業における技術的進歩を示す重要な成果です。

設計と機能

IMI 120mm戦車砲は、ドイツのレオパルト2やアメリカのM1エイブラムスなどに搭載されているラインメタルの44口径120mm戦車砲と非常に似た外観を持っていますが、利便性と性能向上を図るために独自のリコイルシステムを装備しています。このリコイルシステムは、同心リターダと空圧復座機を組み合わせており、射撃時の後座を効果的に制御します。そのため、従来の105mmライフル砲のサイズを超えないように設計されています。

バージョン

IMI 120mm戦車砲は、以下のような2つのバージョンが存在します。

1. MG251: このバージョンはビシェイ・インターテクノロジーによって開発されたサーマルスリーブが装備されており、排煙器も取り付けられています。
2. MG253: VIDCO・インダストリーズによって設計されたサーマルスリーブを持ち、新たな圧縮ガス式リコイルシステムが導入されています。

さらに、IMIが開発したさまざまな弾薬を使用できるほか、必要に応じてフランス、ドイツ、およびアメリカの120mm NATO弾を射撃することも可能です。また、LAHAT対戦車ミサイルの発射能力も兼ね備えています。

運用国

現在、IMI 120mm戦車砲は以下の国々で運用されています:

• - MG251: イスラエル（メルカバMk3）
• - MG253: イスラエル（メルカバMk4）およびトルコのサブラ

このように、IMI 120mm戦車砲はイスラエルの防衛において重要な役割を果たす武器システムであり、その設計思想や技術力は他国にも影響を与えています。さまざまなバリエーションを持つこの戦車砲は、現代の戦場において不可欠な存在となっています。

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