INNOCENT SKY

アルバム『INNOCENT SKY』について

『INNOCENT SKY』は吉川晃司による3枚目のオリジナルアルバムで、1985年の3月30日にSMSレコードからリリースされました。このアルバムは、前作『LA VIE EN ROSE』から約5か月ぶりの作品であり、引き続き渡辺プロダクションの木崎賢治とSMSレコードの小野山二郎がプロデュースを担当しています。

アルバムの特徴

本作には、吉川自身が初めて挑んだ作詞曲が収録されており、他にも安藤秀樹と松本一起が作詞を手掛けています。作曲には原田真二、大沢誉志幸、佐藤健、伊藤銀次、NOBODYと多彩なアーティストが参加しており、レコーディングは全て日本で行われました。ギタリストのCharや、全体のアレンジを担った後藤次利が参加している点も注目です。

『INNOCENT SKY』はオリコンアルバムチャートで初登場1位を記録しましたが、当時の吉川の環境に対する不満や自由を求める思いが反映されているため、それまでのファンが離れる結果となりました。アルバムからは「別の夢、別の夏」が5枚目のシングル「にくまれそうなNEWフェイス」のカップリング曲として収録されているものの、シングルカットされた曲は存在しません。

制作背景

『INNOCENT SKY』制作において、吉川はデビュー以降、大きな組織に所属することによる自由の制限を感じていました。コンサートのプロモーションにおいて、自身の意図とは異なる演出が施され、思い悩む日々が続いていたといいます。特に、1984年の「FLYING PARACHUTE TOURⅡ」では、コンサートの進行に対しての不満が高まり、ディレクターと衝突する出来事もあったとされています。しかし、最終的には理解を得て和解しました。

1985年1月には「85 吉川晃司 Live For Rockfeeling Kids」というイベントライブを実施し、初めて日本武道館での公演を果たしました。このライブは、スタッフの悲願として高く評価されました。ライブ活動と並行してリリースされた「You Gotta Chance 〜ダンスで夏を抱きしめて〜」は、オリコンシングルチャートで第1位を獲得し、各音楽番組でも多くの反響を呼びました。

アルバムの売り上げと評価

『INNOCENT SKY』は、アルバムリリース当初から高い人気を誇り、オリコンランキングでLP盤が1位を獲得しました。売り上げはLPが22万枚、CTが11.5万枚となり、全体では33万枚以上に達しました。その後もCD化が進められ、現在でも再リリースが行われています。

2021年には、吉川のアルバム人気ランキングにおいて5位に選出されるなど、長く愛される作品としての地位を確立しています。

影響とその後

本作以降、吉川の表現と音楽スタイルは進化し、コンサートの演出や音楽へのアプローチも大きく変化しました。『INNOCENT SKY』は、吉川の自己主張を初めて強く打ち出したアルバムであり、彼自身の成長とともに音楽シーンにも影響を与える重要な作品となりました。また、個々の曲ではデュラン・デュランやデヴィッド・ボウイの影響を受けた16ビートのロックナンバーが多く収録されており、アレンジャー後藤次利の手腕も光ります。

このように、『INNOCENT SKY』は吉川晃司の音楽キャリアにおける重要な一歩であり、彼の自由を求める姿勢が色濃く反映された作品です。

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