IPhone 4

iPhone 4 の概要

iPhone 4は、Appleが開発・販売した第4世代のiPhoneです。2010年 6月7日にWWDCで発表され、同月24日から世界各国で発売されました。iPhone 3G以来となる2度目のフルモデルチェンジとなり、デザインや機能が大幅に刷新されました。日本では、iPhone 3GSと同様にソフトバンクモバイルが販売を担当しました。2016年10月には、Appleによるサポートが終了しています。

主な特徴

デザイン面では、背面がポリカーボネート製から強化ガラスによるフラットなデザインに変更され、側面はステンレス製のフレームがアンテナを兼ねる構造になりました。これにより、従来モデルよりも小型・薄型化が実現しました。また、システムチップには自社開発のApple A4プロセッサが採用され、高速化と省電力化が図られました。

ディスプレイには、高精細な「Retinaディスプレイ」が初搭載されました。326ppiという高解像度により、非常に鮮明な表示が可能になりました。カメラ機能も強化され、背面にLEDフラッシュライト付きの500万画素カメラ（裏面照射型CMOSセンサー採用）、前面にはビデオ通話用のカメラが搭載されました。

機能面では、HDビデオ記録、3軸ジャイロセンサー、バッテリー容量の向上、iMovie for iPhoneによるビデオ編集機能が追加されました。また、iOS 4で導入されたマルチタスクやアプリケーション用フォルダも搭載されました。ストレージ容量は16GBと32GBのモデルが用意されました。

バッテリー駆動時間は、高容量バッテリーとA4プロセッサの採用により約40%向上しました。iPhone 3GSも引き続き販売されましたが、iOS 4を標準搭載した8GBのブラックモデルのみとなりました。iPhone 3Gの販売は終了しました。

ホワイトモデルの遅延

発表当初、iPhone 4にはブラックとホワイトの2色が用意されていましたが、製造上の問題によりホワイトモデルの発売が大幅に遅れました。当初は2010年7月末、その後2010年内、さらに2011年春と延期が繰り返され、2011年1月にはApple公式サイトからホワイトモデルに関する記述が削除されました。最終的に、2011年4月28日にアメリカや日本などで発売されました。

CDMA版iPhoneの発売

2011年2月10日には、アメリカでベライゾン・ワイヤレスのCDMA2000ネットワークに対応したiPhone 4が発売されました。これにより、AppleとAT&Tの独占パートナーシップが解消されました。CDMA版iPhone 4にはSIMカードスロットが搭載されておらず、外観は後に発売されたiPhone 4Sとほぼ同じですが、アンテナの位置やマナーモードボタンと音量ボタンの位置がわずかに異なっています。また、CDMA版のため、CDMAを展開していない地域ではローミングが利用できません。

プロトタイプ紛失事件

iPhone 4の発表前に、プロトタイプのiPhone 4がサンノゼのバーで紛失するという事件が発生しました。拾得者がギズモード記者に渡し、ギズモードが分解してネット上に公開しました。Appleはギズモードに返却を求めましたが、ギズモードは拒否。Appleは警察に捜査を依頼し、ギズモードのオフィスに家宅捜査が入る事態となりました。その後、Appleとギズモードは和解しました。

iOS

iPhone 4の初期搭載OSはiOS 4.0です。最終的にiOS 7.1.2までサポートされましたが、2014年9月にリリースされたiOS 8ではサポート対象外となりました。

歴史

- 2010年4月: カリフォルニアでiPhone 4の試作機が紛失。
- 2010年 6月8日: iPhone 4を発表。
- 2010年 6月24日: アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、フランスで発売開始。
- 2011年1月11日: CDMA版iPhone 4を発表。
- 2011年2月10日: アメリカのベライゾン・ワイヤレスよりCDMA版が発売開始。
- 2011年4月28日: ホワイトモデルがアメリカなどで発売開始。
- 2011年10月14日: 8GBモデル発売開始。16GB/32GBモデルは販売終了。
- 2016年10月: Appleによるサポートが終了。

主な仕様

- CPU: Apple A4 800MHz、Cortex-A8ベース
- GPU: PowerVR SGX535 + VXD 375
- メモリ: 512MB Mobile DDR SDRAM
- ストレージ: 8/16/32GB
- ディスプレイ: 3.5インチ Retinaディスプレイ、960x640px (326ppi)、IPS液晶
- 初期搭載OS: iOS 4
- 通信方式: 第3世代携帯電話
- 無線LAN: Wi-Fi 802.11b/g/n (2.4GHzのみ)
- Bluetooth: 2.1 + EDR
- インターフェース: USB 2.0/ドックコネクタ
- その他: 3軸ジャイロスコープ、ノイズキャンセリングマイク
- 材質: ジルコニアとイットリウム、シリコンコーティング
- バッテリー: リチウムイオンポリマー電池 1420mAh
- サイズ: 115.2 x 58.6 x 9.3mm
- 重さ: 137g

問題点

液晶ディスプレイ

一部のiPhone 4で液晶ディスプレイが変色する問題が報告されています。また、Retinaディスプレイは「人間が知覚できる以上の解像度」と謳われていましたが、実際には人間の網膜の限界には届いていないとの指摘もあります。

アンテナ問題

本体を左手で持つとアンテナが塞がれて電波の受信感度が悪化し、最悪の場合通話・通信が切断されるという問題が発生しました。この問題に対し、Appleはソフトウェアの改善や保護ケースの無償配布などの対策を行いました。当時のCEOスティーブ・ジョブズは、この問題を「アンテナゲート事件」と命名し、他社製品でも同様の問題が発生すると主張しました。しかし、この主張は他社から反論を浴びました。この問題の発生後、Appleのハードウェア部門責任者が退社しています。

タイムライン

iPhoneの各モデルのタイムラインについては、以下を参照してください。

脚注・出典

詳細な情報については、公式の技術仕様や関連するニュース記事を参照してください。

外部リンク

iPhone 4 - 技術仕様

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