Internet Experiment Note

インターネット実験ノート (IEN) について

インターネット実験ノート（Internet Experiment Note、略称：IEN）とは、インターネット開発の初期段階において、技術的な実験や議論を記録した一連の文書群です。これは、後のインターネットの基礎となる重要な技術的成果がまとめられたものであり、インターネットの歴史を理解する上で欠かせない資料です。

IENの役割

IENは、RFC（Request for Comments）とは異なり、より非公式な報告プロセスとして利用されました。RFCは、技術仕様の標準化を目的とした文書であるのに対し、IENは開発過程におけるアイデアや実験結果、技術的な議論などを記録する役割を担っていました。そのため、IENには、後のRFCに繋がる重要な技術的なアイデアやプロトコルの初期仕様などが数多く含まれています。これは、今日のインターネットの根幹をなすTCP/IPの初期仕様（IEN 40: TCP、IEN 41: IP）も含まれており、初期インターネットプロトコルの詳細を知る上で大変貴重な資料となっています。

IENの歴史

1970年代後半、DARPA（国防高等研究計画局）がインターネットのコンセプト実現のためのプロジェクトを本格的に開始した際に、プロジェクトメンバー間での技術的なコミュニケーションを文書化する必要が生じました。当時、RFCはARPANETプロジェクトの管轄下にあったため、インターネットプロジェクトのメンバーは、RFCを模倣した一連の文書を「Internet Experiment Note (IEN)」として作成しました。

IENは1977年3月から1982年9月までの間に、合計206件が発行されました。これらの文書には、ジョン・ポステル氏のようにRFCの管理者も執筆したものが含まれています。また、一部のIENはRFCとしても発行され、両方の番号が付与されているものもあります。IENの発行は、1983年にARPANETがNCP（Network Control Program）の使用を中止し、TCP/IPに移行したことに伴い、終了しました。それ以降の文書は、RFCとして発行されることとなりました。

IENの現状と歴史的価値

現在、IENは発行されていません。また、既に発行されたIENも、インターネットドラフトの発行に伴い効力を失っています。そのため、IENは、インターネットの初期の技術開発の過程を知ることができる歴史的な資料としての価値のみが残っています。当時の技術者たちがどのような議論を重ね、どのようにして今日のインターネット技術が形成されていったのかを知る上で、IENは非常に重要な情報源となります。

参考資料

以下に、IENに関する参考資料を記載します。

Internet Experiment Notes index at postel.org
IEN archive at postel.org (plain text)
IEN archive at postel.org (PDF)
IEN index at rfc-editor.org

これらの資料を通じて、IENについてより深く理解を深めることができるでしょう。

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