Internet Explorer 10

Internet Explorer 10 (インターネット エクスプローラー テン) について

Internet Explorer 10 (IE10) は、マイクロソフトが開発したウェブブラウザ Internet Explorer のバージョンの一つです。Windows 8とそのARM版であるWindows RT、Windows Server 2012に標準搭載されました。Windows 7やWindows Server 2008 R2向けにも提供されましたが、サポートは既に終了しています。

概要

IE10は、Windows 8のModern UI（現在のMetro UI）に対応したバージョンと従来のデスクトップ版の2種類が提供されました。デスクトップ版はWindows 7/Windows Server 2008 R2にも対応し、2012年11月にRelease Preview版が、2013年2月に正式版が公開されました。

しかし、2016年1月にはWindows 7およびWindows 8向けのサポートが終了。当初、Windows Server 2012向けのサポートは継続予定でしたが、後にInternet Explorer 11の公開に伴い、IE10のサポートは2020年1月14日に終了しました。

新機能

IE10には、以下のような新機能が搭載されました。

input要素内の「×」ボタン: 入力文字列を簡単に消去できます。
password型input要素の目のアイコン: クリック中にパスワードを表示できます。
スクロールバーのデザイン変更: HTMLユーザーインターフェースの外観が変更されました。
タブの改良: タブの操作性が向上しました。
オフライン時のエラー画面変更: ネットワークに接続されていない時のエラー画面が変更されました。

標準提供版のみの機能

Windows 8とWindows RTには、Adobe Flash Playerが標準搭載され、Windows Updateを通じて更新されます。
Windows UI版のInternet Explorerでは、Flash Playerのみが動作し、他のアドオンは動作しません。

追加提供版の制限

標準提供版の機能が提供されないほか、Windows 7とWindows Server 2008 R2用のIE10では、タッチ入力に関するDOMイベント、DOMプロパティ、CSSプロパティの一部がサポートされません。

廃止された機能

HTML5やCSS3による標準化が進んだため、IE10では以下のIE独自機能への対応が打ち切られました。

条件付きコメント
Vector Markup Language
DXフィルター
HTML コンポーネント (HTC)
XML Data Islands

これらの機能の一部は、互換モードで動作させると従来通りに動作します。

開発経緯

IE10の開発は、Platform Preview版を複数回公開することで進められました。

Platform Preview 1 (PP1)

2011年4月12日に開催されたMIX11で発表されました。
502項目のウェブ標準テスト項目が追加され、合計6401項目になりました。
JavaScriptはECMAScript 5 Strict Modeに対応しました。
CSSは、CSS3 Flexbox、CSS3 Grid Alignment、CSS3 Multi-column Layout、CSS3 Gradientsに新たに対応しました。
対応プラットフォームはWindows 7のみで、Windows Vistaは対象外でした。

Platform Preview 2 (PP2)

2011年6月29日に公開されました。
270項目のテスト項目が追加され、合計6668項目になりました。
CSS3 Positioned Floats、Channel Messaging、Media Query Listeners、script要素のasync属性、HTML5 Forms、HTML5 Drag and Drop、HTML5 File Reader API、HTML5 Sandbox、HTML5 Web Workers、Web Performance API、requestAnimationFrame、Page Visibility API、setImmediateなど、多くの新しい規格に部分的に対応しました。

Developer Preview (Platform Preview 3, PP3)

2011年9月13日のBUILD Conferenceで公開されました。
312項目のテスト項目が追加され、合計6980項目になりました。
デスクトップ版とMetroスタイル版の2種類が提供されました。
Metroスタイル版はタッチ操作メインのプラグインフリー設計で、バッテリー寿命、セキュリティ、信頼性、プライバシーの面でメリットがありました。
HTML5 Application Cache、progress要素、input要素のrange型、HTML5 History、スペルチェック、CSS3 3D Transforms、CSS3 Animations、Panning and Zooming、CSS3 Transitions、text-shadow、WebSocket、Indexed Database API、SVGフィルターエフェクトに対応しました。

Platform Preview 4 (PP4)

2011年11月29日に公開されました。
118項目のテスト項目が追加され、合計7092項目になりました。
Cross Origin Resource Sharing (CORS)、File API Writer、JavaScript Typed Arrays、CSS ユーザー セレクト プロパティ、HTML5 Video text captioningに対応しました。
Quirks modeが他のブラウザとの互換性を考慮して変更されました。

Consumer Preview (Platform Preview 5, PP5)

2012年2月29日に公開されたWindows 8 Consumer Previewに含まれます。
Metro版とデスクトップ版の2種類が提供されました。
パフォーマンスの改善が中心に行われ、456項目のテスト項目が追加され、合計7548項目になりました。

Release Preview (Platform Preview 6, PP6)

2012年5月31日に公開されたWindows 8 Release Previewに含まれます。
Adobe Flash Player 11.3が統合され、Metro版でもFlashが利用可能になりました。
Do Not Track (DNT)が既定で有効化され、アプリ切り替えボタンの削除、検索結果UIの変更、Flip Aheadボタンが搭載されました。
75項目のテスト項目が追加され、合計7573項目になりました。

Windows 7/Windows Server 2008 R2向けRelease Preview

2012年11月14日に公開されました。

Windows 7/Windows Server 2008 R2向け正式版

2013年2月26日に公開されました。
Windows 7環境によっては、一部のアプリケーションが正常に動作しなくなる不具合や、ブルースクリーンが発生する問題が報告されました。

まとめ

IE10は、多くの新機能とHTML5への対応を強化したブラウザでしたが、サポートは既に終了しています。このブラウザの開発経緯は、Web技術の進化を反映しており、当時のWeb技術のトレンドを理解する上で重要な情報です。

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