JR日豊本線脱線転覆事故

JR日豊本線脱線転覆事故

2006年9月17日午後1時50分頃、宮崎県延岡市のJR日豊本線南延岡駅付近で、特急「にちりん9号」が竜巻に巻き込まれ脱線・転覆する事故が発生しました。

事故の概要

事故が発生したのは、延岡駅から南延岡駅の間にある南延岡駅構内です。特急「にちりん9号」（485系5両編成）は、台風13号の影響で発達した積乱雲に伴う竜巻に襲われました。先頭の2両が脱線・転覆するという惨事となりました。

当時、列車は強風のため徐行運転を行っており、延岡駅には定刻より40分遅れて到着していました。南延岡駅で運転打ち切りとなる予定で、時速25kmで徐行運転をしていましたが、駅手前で架線にトタンが引っかかっているのを発見し、運転士が非常ブレーキをかけた直後に列車が横転したとされています。

この竜巻は、移動速度が時速100km以上と非常に速く、藤田スケールでF2またはF3に分類されるほどの強力なものでした。周辺地域では、アパートの屋根が吹き飛んだり、車が飛ばされて民家に衝突するなど、突風による甚大な被害が出ていました。

事故を起こしたDk-12編成は、一部車両を修繕し、別の車両と組み替えて運用に復帰しました。

被害状況

乗客と乗務員合わせて6名が負傷しましたが、幸いにも全員が軽傷でした。これは、列車が停止状態または極めて低速で脱線したためと考えられます。

延岡市消防本部も竜巻の直撃を受け、庁舎の窓ガラスが全て吹き飛ばされ、機能が麻痺する事態となりました。負傷者の搬送には、南延岡駅職員の自家用車や警察車両が使用されました。

台風13号による竜巻は、延岡市を中心に死者3名、重軽傷者143名、住宅全壊120棟など、甚大な被害をもたらしました。

事故後の対応

事故発生翌日から、脱線した列車が撤去されるまでの数日間、下りの特急「にちりん」は全て延岡駅で折り返し運転となりました。延岡駅から日向市駅前までは代行バスが運行され、駅の表示は「延岡」行きと表示されました。

「にちりん」で使用される車両の方向幕には「延岡」行きがないため、「宮崎空港」と表示したまま運行されました。自動放送が設置されている車両では、車掌が肉声で延岡行きであることを案内する必要がありました。

この事故による車両不足のため、「にちりん9号」には一時的に783系「ハイパーサルーン」が使用されたり、大分運輸センターの予備車両やグリーン車を連結しない編成が使用されるなど、異例の対応が取られました。

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出典

読売新聞
九州旅客鉄道
* 旧航空・鉄道事故調査委員会

脚注

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