JR東日本107系電車

107系電車について

107系電車は、1988年から1991年にかけて製造されたJR東日本の直流通勤形電車で、主に北関東の直流電化路線に用いられてきました。特に日光線や両毛線での運用が見られ、2017年以降は一部が上信電鉄に譲渡され、700形としての運行も行われています。本稿では、107系電車の概要や特徴、技術的な内容、運用状況を詳しく紹介します。

背景と誕生の経緯

1980年代後半、日光線や両毛線の普通列車は、急行列車の廃止により165系急行形電車が多く転用されていました。しかし、これらの車両は製造から20年以上が経過し、陳腐化や老朽化が進んでいました。ボックスシートや少ない扉数のため、ラッシュ時には乗降が煩雑になり、運行の遅延を引き起こしていました。また、3両編成が基本であったため、閑散時には輸送力が過剰になるなど、非効率な利用状況が課題となっていました。

国鉄分割民営化を受けて、JR東日本では需要に応じた柔軟な輸送が可能な車両の開発が求められ、これに応える形で、107系電車が設計されました。基本的に2両編成で構成されており、必要に応じて4両や6両に増結が可能なため、輸送力に応じた柔軟な運用が実現しました。

車両設計

107系電車の設計は、JR東日本東京圏運行本部に設置された「107系電車社内新造プロジェクトチーム」と東急車輌製造が共同で担当しました。当時の社内新造は初めての試みで、材料からの製造が難しかったため、妻構体と長手方向に分割した側構体・屋根構体・台枠を購入し、自社工場で組み立てる方式が採用されました。

車体は20m級の普通鋼製で、半自動式の両開き扉を片側3か所に配置しています。前面形状は貫通形で、105系に似た切妻形状を持ちつつ、前照灯の配置が変更され、水平方向に配置されています。大宮、大井、大船、新津などの工場で製造され、主に165系からの発生品を再利用してコスト削減を図っているのも特徴です。

車内の構造

車内では、ラッシュ時の混雑緩和のために全席ロングシートが採用されています。座面は深い位置に設計された「ブリッジシート」が特長で、長時間乗車でも快適な設計となっています。冷房装置や客室側の窓の変更も行われ、さらなる利便性向上が図られています。冷房装置は、クモハ107形に集中式の1基、クハ106形には分散式で6基を搭載しています。

運用状況

0番台は日光線を中心に運用され、小山車両センターに配置されていましたが、2013年に205系に置換えられ、定期運用を終了。100番台は高崎車両センターに配置され、両毛線や上越線などで運行されていましたが、2016年からは211系による置換えが進みました。最終的に100番台の一部は上信電鉄に譲渡され、700形電車として運行されています。

上信電鉄700形電車への移行

上信電鉄に譲渡された100番台のうち6編成は700形として改造され、2019年より上信線で運行を開始しました。ワンマン運転に対応するための改造が施され、新しい装備が搭載されています。700形は、これまでの運用形態を一新し、地域輸送に寄与しています。各編成は異なる車体色が施され、地域に根ざした運行が続いています。

以上が107系電車についての詳しい説明です。この電車は、地域の交通網を支える重要な役割を果たしており、その歴史と技術は多くの利用者にとって愛着のある存在となっています。

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