JR西日本289系電車

289系電車

289系電車は、西日本旅客鉄道（JR西日本）が683系2000番台を改造して製作した直流特急形電車です。主に、紀勢本線方面の「くろしお」や、山陰本線方面の「こうのとり」「きのさき」「はしだて」といった特急列車で運用されています。

概要

289系は、老朽化した381系を置き換えるために導入されました。元々は、北陸本線の特急「しらさぎ」で活躍していた683系2000番台を、直流区間専用に改造した上で、形式名を変更したものです。改造は、2015年4月から10月にかけて、吹田総合車両所および福知山電車区で行われました。

改造に際しては、「しらさぎ」時代に5両編成だったものを、「くろしお」用には6両編成、「こうのとり」「きのさき」「はしだて」用には4両編成へと組み替えられました。一部編成は、683系のまま福知山に転属し、289系への改造を受けています。改造時に余剰となった車両も存在します。

2015年4月28日には、最初に改造された編成が出場。この時点では、交流機器は撤去されておらず、「SHIRASAGI」のエンブレムも残されたままでした。同年5月27日には、4両編成の試運転も行われています。

構造

外観は、287系に準じたデザインとなっています。窓下の帯色は、「くろしお」向けはオーシャングリーン、「こうのとり」「きのさき」「はしだて」向けはダークレッドに変更されています。番台区分は、2000番台・3000番台のまま変更はありません。性能面では、287系と同等の力行性能を持ち、定速制御の設定速度が75km/hから55km/hに変更されています。

形式

電動車は奇数形式、付随車は偶数形式を名乗ります。編成を構成する各車両には、それぞれ役割に応じた設備が搭載されています。転用にあたっては、287系と編成を揃えるため、基本・付属編成ともに方向転換が行われました。

クモハ289形 (Mc): 運転台を持つ普通車。車両制御装置や電動空気圧縮機などを搭載。
モハ289形 (M): 運転台のない普通車。車両制御装置や電動空気圧縮機などを搭載。
クロ288形→クロハ288形 (Tpsc'): グリーン車。トイレや洗面所、フリースペースを備える。後に半室グリーン車化改造。
クハ288形 (Tpc'): 運転台を持つ普通車。トイレや洗面所を備える。
サハ289形 (T): 運転台のない普通車。トイレ、洗面所、車内販売準備室などを備える。
サハ288形 (Tp): 運転台のない普通車。トイレや洗面所、公衆電話を備える。

改造

運用開始後にも、以下のような改造が実施されています。

交流機器撤去: 2016年から2018年にかけて、交流機器が順次撤去されました。ただし、一部編成は後に683系に復帰しています。
半室グリーン車化: クロ288形の前位寄り客室を普通車化。グリーン車の定員は15名、普通車の定員は18名となりました。

車両配置と運用線区

289系は、吹田総合車両所京都支所と吹田総合車両所福知山支所に配置されています。

吹田総合車両所京都支所: 「くろしお」で運用。多客期には9両編成で運転されることもあります。通勤特急「らくラクはりま」にも使用。
吹田総合車両所福知山支所: 「こうのとり」「きのさき」で運用。2024年11月からは、一部編成にカニのラッピングが施されています。

運用

2025年3月15日現在の運用は以下の通りです。

吹田総合車両所京都支所
特急「くろしお」：下り7・15・21・23・31号、上り10・12・18・24・34号
通勤特急「らくラクはりま」
吹田総合車両所福知山支所
特急「こうのとり」：下り1・3・11・13・15・17・21・27号、上り8・10・12・14・20・24・26・28号
特急「きのさき」：下り3・5・9・13号、上り6・10・16・18号

編成表

2024年4月1日現在の編成表は省略します。

参考文献

『鉄道ファン』、交友社
『鉄道ジャーナル』、鉄道ジャーナル社
『鉄道ピクトリアル』、電気車研究会
ジェー・アール・アール『JR電車編成表』、交通新聞社

関連項目

JR西日本683系電車
JR西日本183系電車
JR西日本415系電車

外部リンク

JRおでかけネット
こうのとり
きのさき
はしだて
くろしお
* らくラクはりま

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