JR貨物タキ1100形貨車

JR貨物タキ1100形貨車について

JR貨物タキ1100形貨車は、1997年から1998年にかけて日本車輌製造で製作された、フライアッシュと炭酸カルシウム専用のタンク車です。全体で24両が製造され、日本貨物鉄道（JR貨物）の車籍を持つ私有貨車として運用されました。この車両は、UBE（宇部興産）の子会社である宇部興産セメントサービスによって所有されています。

概要

この貨車は、ホキ1000形に続くフライアッシュと炭酸カルシウム専用の車両であり、往路と復路で異なる積荷を運ぶことが可能な初のタンク車となっています。特に、粉体輸送用の私有貨車として初めて、軸重15トンを許容する設計が盛り込まれています。

構造

タキ1100形は、車体全長14,500 mmの14 m級の設計です。台枠は13,700 mm、台車中心間距離は10,100 mmとなっています。また、タンクは耐候性高張力鋼で作られた異径胴タイプで、両端部の直径が2,050 mm、中央部の直径が2,900 mm、長さが12,835 mmです。車体は薄青色に塗装されており、荷役方式にはエアスライドを併用した圧送方式が採用されています。荷役口は中央に1か所設けられており、車端部には排気管が配置されています。台車は、タキ1000形のFT21形からばね特性を変更したFT23形が使われ、軸間距離は1,900 mm、車輪径は810 mmです。最高速度は95 km/hに設定されています。

運用状況

タキ1100形は、主に美祢線の美祢駅に常備され、同駅からUBEの伊佐工場まで炭酸カルシウムを運び、山陰本線の岡見駅へ向かい、フライアッシュを相互に輸送する役割を果たしました。この貨物列車は「岡見貨物」と呼ばれ、1998年6月15日から営業運転が開始されました。最大11両編成で運転され、牽引機としてはDD51形が使用されました。この列車は山陽本線や山口線を経由し、特に山口線内ではDD51形の重連で牽引されることが一般的でした。

しかしながら、2013年7月の豪雨により山口線が不通となった際、「岡見貨物」は長期間運休し、トラック輸送に切り替えられました。その後、同年10月には三隅発電所のトラブルも影響し、貨物輸送が停止されることとなりました。宇部興産は2013年度末に輸送契約の更新を行わず、山口線の復旧を待たずして貨物輸送が廃止されました。その結果、2014年4月1日付けで山口線における日本貨物鉄道の第二種鉄道事業も廃止されることとなりました。

現在の状況

2022年現在、タキ1100形は全車両が解体され、形式としては消滅した状態にあります。過去の運用とその影響は、鉄道の歴史における一つの重要なピースとして記憶されています。

参考文献

• - 吉岡心平著 『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑』 (ネコ・パブリッシング、2008年)
• - 日本の貨車技術発達史編纂委員会『日本の貨車-技術発達史-』 (2008年)
• - 山口新聞 (2013年12月13日)
• - 仮屋昭典「惜別・岡見貨物 16年の軌跡」『鉄道ファン』2014年5月号 No.637（交友社）

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