美祢線

美祢線：歴史と現状、そして未来

美祢線は、山口県山陽小野田市の厚狭駅から長門市の長門市駅を結ぶ、西日本旅客鉄道（JR西日本）の鉄道路線です。沿線には秋吉台や秋芳洞などの観光地があり、地域輸送の重要な役割を担っています。

路線の概要

美祢線は、全長46.0kmの単線非電化路線で、全12駅（起終点駅含む）を有します。ラインカラーは濃いピンク（■）で、沿線地域を結ぶ重要な足となっています。

路線データ

- 管轄: 西日本旅客鉄道（第一種鉄道事業者）
- 路線距離: 46.0km
- 軌間: 1067mm
- 駅数: 12駅（起終点駅含む、美祢線所属駅に限定すると10駅）
- 複線区間: なし（全線単線）
- 電化区間: なし（全線非電化）
- 閉塞方式: 自動閉塞式（特殊）
- 最高速度: 85km/h

運行形態

2015年以降、旅客列車はすべて普通列車として運行されており、1時間に1～2本程度の運転です。基本的には厚狭駅と長門市駅の間を全区間運行しますが、一部列車は山陰本線仙崎支線へ直通運転を行っています。かつては宇部線に直通する列車や急行列車も存在しましたが、現在は運行されていません。また、臨時列車として「幕末ISHIN号」が運行されることもあります。

歴史

美祢線の歴史は、1905年に山陽鉄道が石炭輸送のために厚狭駅 - 大嶺駅間を開業したことから始まります。その後、美祢軽便鉄道によって重安駅まで延伸され、1924年には長門市駅まで全通しました。

開業から国有化

- 1905年: 山陽鉄道が厚狭駅 - 大嶺駅間を開業。
- 1906年: 山陽鉄道が国有化。
- 1916年: 美祢軽便鉄道が伊佐駅 - 重安駅間を開業。
- 1920年: 美祢軽便鉄道が国有化され、美禰軽便線となる。
- 1924年: 於福駅 - 正明市駅（現在の長門市駅）間が延伸開業し、全線開通。

美祢線としての発展

- 1963年: 美禰線から美祢線に改称。
- 1997年: 大嶺支線が廃止。

貨物輸送

美祢線は、かつて石灰石輸送で重要な役割を担っていました。特に美祢駅から宇部港駅までの間は、多くの貨物列車が運行されていましたが、トラック輸送への移行などにより、1998年に廃止されました。その後も、重安駅と宇部岬駅の間で石灰石輸送が行われていましたが、2009年に廃止されています。貨物輸送が盛んだった時代には、美祢線は幹線として扱われていました。

水害と復旧

美祢線は、過去に2度の大規模な水害に見舞われています。

2010年の水害

2010年7月、豪雨により厚狭川が氾濫し、橋梁の流失や路盤の損壊など甚大な被害が発生しました。これにより全線が不通となり、バス代行輸送が行われましたが、地域住民の生活に大きな影響を与えました。その後、山口県とJR西日本の連携により、2011年9月に全線復旧を果たしました。

2023年の水害

2023年7月にも、再び豪雨により橋梁が流失し、全線が不通となりました。現在も代行バス輸送が行われています。JR西日本は、復旧には多額の費用が必要になるとの見解を示しており、今後の路線の在り方について、沿線自治体と協議を進めています。

使用車両

現在、美祢線では下関総合車両所新山口支所所属の気動車が使用されています。主にキハ120形が使用され、一部列車にはキハ40系が使用されています。

過去の使用車両

かつては蒸気機関車やディーゼル機関車、キハ23系やキハ58系などの気動車が使用されていました。特に貨物輸送が盛んな頃には、多くの機関車が活躍しました。

今後の課題

美祢線は、2度の大規模な水害に見舞われ、復旧費用や今後の運営について大きな課題を抱えています。JR西日本は、単独での持続的な運行は困難であるとの見解を示しており、沿線自治体との協議を通じて、路線の在り方を模索しています。地域住民の足として重要な役割を担う美祢線の、今後の動向が注目されます。

まとめ

美祢線は、山口県の地域輸送を担う重要な路線であり、その歴史や現状、そして未来について多くの課題を抱えています。過去の栄光と二度の水害を乗り越え、地域と共に歩むための新たな道が模索されています。

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