JR貨物EF200形電気機関車

EF200形電気機関車

概要

EF200形電気機関車は、日本貨物鉄道（JR貨物）が1990年に開発した直流電気機関車です。この形式は、国鉄分割民営化を受けて、新たに輸送需要の増加に対応するために設計されました。1987年からの国鉄の機関車を承継したJR貨物は、既存のEF65やEF66形を中心に運用しつつも、将来的な車両の更新を見据えた新型機関車の開発を決定しました。

開発の目的

国鉄形式のEF66形やEF81形を改良して使用する一方で、直流電化区間での輸送力を強化するため、1990年に試作機が日立製作所で完成しました。この試作機がEF200形であり、当初の計画では1,600トンの牽引が可能な性能を満たすことを目指しました。さらに、VVVFインバータ制御技術が採用され、最高出力は6,000kWに達します。

量産と運用

1992年から本格的に量産が始まり、特に東海道や山陽本線で運用が開始されました。しかし、変電所の構造上の問題から、計画通りの1,600トン牽引は実現できず、その出力を制限して運用されることになりました。合計21両が製造され、以降はコスト最適化を重視したEF210形への移行が行われます。

構造

EF200形の車体は直線的なデザインであり、高運転台式の非貫通前面を特色としています。外部には濃淡ブルーの塗り分けが施され、側面には「INVERTER HI-TECH-LOCO」のロゴが描かれています。事故対策として車体は強化され、耐候性鋼板が使用されています。

制御方式と性能

制御方式はGTOサイリスタ式のVVVFインバータであり、主電動機として1時間定格出力1,000kWの三相誘導電動機が6基搭載されています。この組み合わせにより、最大で1,600トンの牽引が可能です。最高速度は120km/h、定格速度は81.2km/hに設定されています。また、運転台はデスクタイプに変更され、計器類がデジタル表示になっています。

形態区分

試作機（901号機）

EF200形の試作機は1990年に製作され、新鶴見機関区に配備されました。さまざまな性能試験を行い、1,000トン貨物列車を山陽本線で牽引する能力が確認されました。

量産車（1-20号機）

1992年から1993年にかけて量産された20両は、試作機の成果を基に改良され、さまざまな配慮がなされました。例えば、インバータ装置の小型化や運転台の改良が行われています。

運用状況

本形式は東海道・山陽本線での輸送力強化を目指しており、1992年以降に増えていく輸送需要に応じて活躍しました。しかし、景気後退や電力供給の不備から、その性能を最大限に発揮できる環境は整っておらず、運用は制限されていました。2007年には、1,300トンに増加した運転重量に対応する形での運用が開始され、山陽本線での貨物輸送に貢献しました。

保存機

現存するEF200形は、試作機901号機が静態保存されており、2017年には当初の塗装に復元されています。量産機の中では10号機が唯一現存し、その他は解体されています。

結論

EF200形電気機関車は、その先進的な技術と設計により、鉄道友の会のローレル賞やグッドデザイン賞を受賞しました。1980年代の国鉄から続く伝統を受け継ぎながらも、新しい技術を取り入れたこの機関車は、鉄道貨物輸送の革命をもたらしました。

もう一度検索