JR貨物EH500形電気機関車

EH500形電気機関車

EH500形電気機関車（イーエイチ500がたでんききかんしゃ）は、JR貨物が保有する三電源方式の交流直流両用電気機関車です。この機関車は、公式に「ECO-POWER 金太郎」と愛称され、同じくJR貨物のEF210形電気機関車「ECO-POWER 桃太郎」と対をなしています。

概要

本機は日本国有鉄道（国鉄）時代からの伝統であり、EH10形以来の高性能な2車体連結・主電動機軸8軸使用のH級機です。これにより、首都圏と函館・五稜郭間で運行される1000tの貨物列車の運行効率を向上させています。以前は、直流機と交流機の切り替えが発生していたため、運行時間が長くなる問題がありました。これを解決するためにEH500形が開発され、ED75形電気機関車やED79形電気機関車の老朽化も考慮されました。また、2016年には北海道新幹線の延伸に伴い青函トンネルが昇圧され、EH800形機関車に運用が移行されました。

構造

EH500形は、特に急勾配や長大トンネルでの運行を考慮して設計されており、軸重を増加させずに高い粘着性を維持するために、2車体永久固定のH型機関車となっています。走行機器は、交流20000Vと直流1,500Vの両方に対応し、それぞれ主変圧器からの電力を使用しています。主変換装置は1台で2基の主電動機を制御します。

主変圧器は2,598kVAの容量を持ち、1両あたり2基が搭載されています。補助電源装置は容量150kVAの静止形インバータを使用し、補助機器に必要な電源を供給します。また、主電動機（FMT4）は、1時間定格出力565kWを誇り、高い出力性能を確保しています。

形態区分

EH500形は、試作機（901号機）、1次形（1、2号機）、2次形（3～9号機）、3次形（10号機～81号機）という段階で製造されました。試作機は1997年に完成し、その後の量産型では内部機器配置の改善がなされました。これにより、製造過程で発生した様々な課題が解決されました。

現況・動向

2021年12月時点では、EH500形は仙台総合鉄道部と門司機関区に配属され、合計82両が稼働しています。近年の製造実績には2010年度の6両が含まれ、主に東海道線や山陽線等の貨物輸送に使用されています。特に、日本海縦貫線などの運用には独自の戦略が求められています。地震後の復興支援や、運転区間の再編成などの要請にも応じています。また、2017年に行われた特別運行では、30号機が寝台特急「カシオペア」を牽引するなど、機関車の多用途性が示されました。

このように、EH500形電気機関車は、日本の貨物鉄道において重要な役割を果たしています。高い性能、柔軟な運用形態、さらには環境に配慮した設計は、今後も多くの需要に応えることが期待されています。

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