J/FPS-5

J/FPS-5: 航空自衛隊の警戒管制レーダー

J/FPS-5は、日本の航空自衛隊が運用する先進的な警戒管制レーダー装置です。このシステムは主に、航空機や弾道ミサイルを検出し、追尾することを目的としています。このレーダーは、アクティブ・フェーズドアレイ・[[アンテナ]]（AESA）を搭載しており、信号処理技術に優れ、複雑な空中環境でも高い性能を発揮することができます。

構造と機能

J/FPS-5は、高さ約34メートルの六角柱形状の建物に設置され、3つの側壁にはそれぞれ大きなレーダーアンテナがあります。覆いの模様がカメの甲羅に似ているため、通称「ガメラレーダー」とも呼ばれています。中央の面には直径約18メートルのLバンド及びSバンドレーダーが配置され、主に航空機と弾道ミサイルを探知する役割を果たしています。残りの2面には、直径約12メートルのLバンドレーダーがあり、これは航空機の監視を行います。

特に、J/FPS-5の特徴として、建物全体が回転できる機能があり、特定の方向に重点的に向けることが可能です。この機動性により、高脅威の方向への迅速な対応が可能になります。また、このレーダーはバイスタティック・レーダーとしても機能し、隣に設置されたレーダーからの信号を利用することで、ステルス機など捕捉が困難な目標も検出できるように設計されています。

さらに、フォールトトレラント機能を備えており、故障した部位を切り離しつつ、他の部分の機能を維持することができるため、システム全体の安定性が向上しています。このように、基本機能と追加機能がモジュール化されているため、柔軟な運用が可能です。

情報の伝達と警報システム

J/FPS-5が実際に弾道ミサイルを検知した場合、最初に航空総隊/BMD統合任務部隊にデータが送信され、その後防衛省を経て内閣総理大臣や各省庁に情報が提供されます。さらに総務省は、この情報を基に全国瞬時警報システムを用いてマスメディアや地方公共団体に警報を発信し、国民には報道や防災無線を通じて必要な避難行動が指示されます。将来的には、宇宙ゴミを監視するための用途も考慮されています。

開発の経緯

J/FPS-5の開発は、まだ早期警戒衛星を持たない日本において、北朝鮮の弾道ミサイルを早期に探知する必要性から始まりました。1999年度より、技術研究本部が弾道ミサイル探知対応レーダーの開発に着手。最初の試作機は千葉県に設置され、実験が重ねられ、2005年度には開発が完了しました。量産型はその後、各地に配備されることとなります。

配備状況

J/FPS-5は、2008年度から2011年度にかけて、全国に4基が設置されました。それぞれの基は約180億円かかり、大規模な土木工事も伴うため、全体の配備は制限されています。これらのレーダーは、既存のJ/FPS-2|J_FPS-2を更新する形で導入され、アップデートも行われています。

具体的には、下甑島分屯基地、佐渡分屯基地、大湊分屯基地、与座岳分屯基地に設置され、各基地での運用が行われています。特に佐渡分屯基地では、最新型のJ/FPS-5Dが導入されるなど、技術革新が進んでいます。これにより、日本の防空能力が大幅に向上しました。

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