Ju 390 (航空機)

ユンカース Ju 390の概要

ユンカース Ju 390は、第二次世界大戦中に開発された大型航空機で、主に輸送機、洋上哨戒機、そして長距離爆撃機としての機能を担うことを目的としていました。この空中機は、Ju 290を基にした派生型であり、アメリカ爆撃機計画において提案された数機のうちの一つとして位置づけられています。

設計と開発

Ju 390の設計は、ユンカースのモデルJu 290から発展したもので、民間航空機Ju 90を改造することで実現されました。実際的には、最初の試作機であるV1号機は、Ju 90 V6号機を改造して製造され、1943年10月20日に初飛行しました。この試作機の性能は良好であったため、続いて26機が発注されましたが、プロジェクトは1944年中頃にキャンセルされ、実際の生産には至りませんでした。

試作機V2号機はJu 290を基に改造され、全長がV1号機よりも長く設計されました。この機体は洋上哨戒機型に相当し、さらに爆撃機型のJu 390 Cも提案され、マルチロールな運用能力が期待されました。Ju 390の爆撃機型は、自衛のためにMe 328パラサイト・ファイターの搭載を計画し、フリッツX対艦誘導滑空爆弾の試験も行われたとされています。

運用の歴史

V1号機の運用

V1号機はデッサウのユンカース工場で製造され、性能が確認された後、アドルフ・ヒトラーに披露されることになります。しかし、契約がキャンセルされたため、V1号機は最終的に破壊され、量産には至りませんでした。

V2号機の運用

V2号機はベルンブルクで製造され、初めは洋上哨戒機としての機能が期待されていました。この機体も複数のテスト飛行を行いましたが、最終的な実運用には至りませんでした。戦争終息に伴い、運用できる状態でなかったため、実際の戦闘任務には就かなかったと言われています。

ニューヨークへの飛行

Ju 390の北米への飛行に関する議論は1950年代にまで遡ります。特に一部の航空歴史家は、Ju 390がアメリカの東海岸に近づいたという証言を記録していますが、その信憑性は疑問視されています。一部の文献では、Ju 390がニューヨークのすぐ北の地域まで到達したとされていますが、これには確たる証拠がありません。特に、Ju 390が戦時中に渡米した可能性についての記述はいくつかの書籍に見られるものの、信頼性が低いとされています。

日本への輸出

Ju 390が製造される際には、日本政府もこの航空機に注目しました。日本陸軍がこの航空機のライセンス生産を希望し、製造権が購入されたとの記録がありますが、実際に製造が進められたかどうかは不明です。

派生型

• - Ju 390 V1：試作初号機
• - Ju 390 V2：試作2号機
• - Ju 390 A-1：大型輸送機用の計画機
• - Ju 390 B：洋上哨戒機用の計画機
• - Ju 390 C：長距離爆撃機用の計画機

仕様

• - 乗員：10名
• - 全長：34.20 m
• - 全幅：50.30 m
• - 全高：6.89 m
• - 最大離陸重量：75,500 kg
• - 航続距離：9,700 km
• - エンジン：6 x BMW 801 D 星型エンジン
• - 武装：機関砲や機関銃を装備

結論

ユンカース Ju 390は、当時の航空技術の最前線を駆け抜けた結果としても見られますが、様々な理由から量産や運用には至らず、その計画は理想と現実の間で消えていきました。

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