KAC 6x35mm PDW

KAC 6x35mm PDW：実験的な個人防衛火器の詳細

概要

KAC 6x35mm PDWは、ナイツアーマメント社によって設計された実験的な個人防衛火器（PDW）です。従来のPDWと同様に、コンパクトでサブマシンガンと同程度の軽量さを持ちながら、より長い射程（200-300m程度）での戦闘を想定して開発されました。この銃は、主に後方部隊や非戦闘員向けに設計されており、実戦部隊の主力火器とは異なる役割を担います。

KAC PDWの銃身は10インチ（約25cm）と短く、ストックを折りたたむと全長は約19.5インチ（約50cm）、展開時でも約29.8インチ（約76cm）と非常にコンパクトです。これは、現在アメリカ軍で採用されているM4カービンよりも軽量で、反動も約50%軽減されています。2006年にニューメキシコ州アルバカーキで開催されたNDIA小火器シンポジウムで正式に発表され、初期のショットショーではサンプルが公開されましたが、現在、KAC PDWはプロトタイプのみで生産はされていません。

デザイン

KAC PDWのデザインは、既存の構成要素を巧みに組み合わせています。下部レシーバーは、弾倉とトリガーアッセンブリーを除き、M16シリーズのものをベースとしています。これは、多くの射手にとって馴染みのある操作性を維持するための工夫です。一方で、弾倉、上部レシーバー、発射機構は、ナイツアーマメント社が独自に設計した新しいパーツで構成されています。

弾薬

KAC PDWは、10インチの短銃身に合わせて、6x35mm弾という独自の弾薬を使用します。これは、アメリカで標準的な5.56x45mm NATO弾よりも全長が短く、弾頭がわずかに大きくなっています。6x35mm弾の弾頭重量は、標準的な5.56mm弾（約4.0-4.2g）よりもわずかに重く、初速は銃口付近で約739m/sに達するとされています。この初速は、10インチ銃身から発射される5.56mm弾よりもわずかに速い数値です。

ナイツアーマメント社は、6x35mm弾が10インチの短銃身に最適化されており、ライフルサイズの銃身では効率的に機能しないと主張しています。これは、10インチのコルトコマンド銃身から発射される5.56mm弾と比較すると、その違いが明確になります。コルトコマンドの5.56mm弾の銃口初速は、約730m/sで、エネルギーは約1074Jです。一方、他のM16メーカーが定める5.56mm弾の銃口初速は約801m/s、エネルギーは約1290Jであり、KAC PDWの6x35mm弾がいかに特殊な設計であるかが分かります。

メカニズム

KAC PDWのメカニズムは、銃身から送られる熱いガスを利用してボルトを動かす、ツインガスピストン方式を採用しています。ボルトキャッチは左右対称に配置され、2つのガスピストンの間にシングルメインスプリングが設けられています。ボルト自体は、AK-47の回転ボルトと類似した構造を持っていると言われています。このメカニズムは、短銃身での安定した動作を実現するために設計されています。

関連項目

短機関銃
PDW（個人防衛火器）
FN P90
カービン
H&K G36
AKS-74U

外部リンク

ナイツ公式サイト
Defense Review article on KAC PDW and competitors



この詳細な解説を通じて、KAC 6x35mm PDWが単なる実験的な火器ではなく、独自の設計思想と技術が凝縮された、非常に興味深い存在であることがご理解いただけたでしょう。

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