KAMAKURA

アルバム『KAMAKURA』概要

サザンオールスターズの8作目となるオリジナルアルバム『KAMAKURA』は、1985年9月14日に発売されました。発売元はタイシタレーベルで、CD、レコード、カセットテープの形態でリリースされています。ジャケット表記は、一部では『kamakura』という表記も見られます。また、1998年と2008年にはCD版の再発売があり、さらに2014年からはダウンロード配信、2019年にはストリーミング配信も開始されています。

背景と制作

『KAMAKURA』は、サザンオールスターズとして初の2枚組オリジナルアルバムです。制作には約1,800時間を要し、桑田佳祐が制作する楽曲が予想以上に増えたため、1枚の予定から2枚組に変更された背景があります。グループのエンジニアや識者は、このアルバムの制作過程で、当時のサザンが抱く可能性を全て模索し切ったという見解を示しています。また、アルバムタイトルは鎌倉の撮影時に思いついたものとされています。

音楽性

音楽的には、サンプラーやデジタルシンセサイザー、ドラムマシンといった当時の新しい楽器が多く使用されており、これにより先進的なサウンドが作り出されています。YMOのアシスタントを務めていた藤井丈司が電子楽器やプログラミング面でも参加しています。

プロモーションとリリース

『KAMAKURA』の発売は「国民待望の2枚組」として大々的に宣伝され、CMには明石家さんまが出演しました。このCMではさんまが「メロディ (Melody)」を口パクで歌い、多くの視聴者がこの歌をさんまの曲だと思っていたという逸話も生まれました。CM制作の経緯には、桑田とさんまの交流がありました。
発売直前まで制作が続いたため、リリースは当初の予定よりも半年遅れました。さらに1985年10月21日には、LP版にカレンダーなどをセットにした『1986 KAMAKURA BOX』もリリースされました。

再発版には、リマスタリングされたオリジナルLP復刻ジャケットが封入され、限定盤として販売されました。本作のリリース以降、サザンオールスターズは活動休止状態となり、それぞれがソロ活動に移行していきました。

批評と商業的成功

音楽プロデューサーの小室哲哉は本アルバムに対して、テクノロジーを駆使した実験的な作品であり、当時のサザンならではのバランスが保たれていると絶賛しています。また、サザンのパーカショニスト・はたけやま裕はこのアルバムを「時代を超越した傑作」と称賛しました。オリコンの集計によると、累計売上枚数は95.3万枚に達しています。

収録曲

アルバムには、さまざまなジャンルに及ぶ楽曲が収められています。例えば、コンピュータやテレビゲームを題材にした「Computer Children」や、恋愛を描いた「愛する女性（ひと）とのすれ違い」、さらには、吉田拓郎を讃えた「吉田拓郎の唄」など、内容は多岐にわたります。また、アルバム内には、原由子がメインボーカルを務める「鎌倉物語」などの曲もあり、豊かな情景描写が特徴です。

参加ミュージシャン

このアルバムには、サザンオールスターズのメンバーを中心に多くのミュージシャンが参加しており、各曲に個性的な色を加えています。桑田佳祐のボーカルをはじめ、大森隆志や原由子、関口和之といったメンバーがそれぞれの役割を担っています。

『KAMAKURA』はその後の日本の音楽シーンに多大な影響を及ぼし、今もなお多くのファンに親しまれています。この作品は、ただのアルバムではなく、サザンオールスターズの音楽的進化の象徴とも言えるでしょう。

もう一度検索