KC-45 (航空機)

KC-45 空中給油機

KC-45は、米国のノースロップ・グラマン社と欧州のEADS社が共同で開発を進めていた空中給油機兼輸送機です。この機体は、民間航空機であるA330-200を軍用化したエアバスA330 MRTTを基にしており、米空軍向けにはKC-45Aという形式名が付けられました。

背景

1990年代後半、老朽化した空軍のKC-135ストラトタンカーの後継機を求めるKC-X計画が立ち上げられました。この計画には、KC-135EやKC-135R、KC-10Aエクステンダーの他にも、多くの航空機の更新が必要となっていました。KC-X計画に関与する主要な航空機メーカーは、この後継機179機の需要に加えて、最大600機のビジネスチャンスを探求していました。

2003年頃、KC-767が選定候補に浮上したものの、経済性やスキャンダルにより決定は先延ばしになりました。これを受け、EADS社は空中給油機市場への参入を決意し、ノースロップ・グラマン社と組んでKC-30Tという名で提案を行いました。

選定プロセス

KC-30Tは大型の機体で、給油量や貨物の搭載能力においてボーイングのKC-767を凌ぐ優位性がありました。しかし、技術的な実績や国産化率、外国製機体に対する偏見も影響しました。結局、2008年2月29日にKC-30TがKC-45として採用されましたが、国内では不満が渦巻き、会計検査院（GAO）が選定過程の問題を指摘しました。これにより、再入札が実施されることになり、最終的にはボーイングがKC-46として採用されました。

生産計画

KC-45案が採用されていれば、初期生産はフランスのトゥールーズで行われ、その後、アラバマ州のモービルにある新工場での量産が予定されていました。具体的には、最初の5機はフランスで製造され、続いて米国で生産を行う計画がありました。

機体の概要

KC-45の設計は、エアバスA330-200Fを基本としています。この機体には、給油設備としてBritish製の空中給油ポッドが主翼に取り付けられ、胴体末尾にはフライングブーム方式とプローブアンドドローグ方式の両方が組み込まれています。給油用燃料は機体自体から供給され、追加の燃料タンクは設けられていません。また、搭載貨物は軍用パレットに対応した設計がなされており、前部胴体には大きな貨物扉が設けられています。

結論

KC-45の開発は、米空軍の空中給油能力の向上を目指す重要なプロジェクトでしたが、最終的には選定プロセスや他の提案機体の優位性が影響し、KC-46に取って代わられる結果となりました。本プロジェクトは米国における軍用機選定の複雑さと、軍備の更新における航空機の重要性を如実に示すものでした。

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