KC-767 (航空機)

KC-767: 高度な空中給油・輸送機

KC-767はアメリカのボーイング社によって開発された空中給油・輸送機であり、B767を基にした機体設計が特長です。特に航空自衛隊やイタリア空軍での運用が知られています。本記事ではKC-767の開発経緯、機体の特徴、運用の現状について詳述します。

開発経緯

ボーイング社は空中給油機の市場でKC-135やベース機としてのKC-707を製造してきましたが、707の性能が時代遅れとなったため、新たなモデルとしてKC-767の開発を進めました。イタリア空軍や日本の航空自衛隊が最初の顧客となり、その後の開発と改造が進められました。アメリカ空軍向けにはKC-46として進化を遂げ、さらに広範な運用が期待されています。

機体の特長

KC-767は767-200ERを基にしたモデルで、貨物型の短い機体ながらも高い航続距離を誇ります。胴体の尾部にはフライング・ブーム式給油装置が装備され、翼端には給油ポッドを搭載することが可能です。給油速度は、ブームが毎分900ガロン、中央のプローブが600ガロン、翼端のポッドが400ガロンと、高効率な燃料供給を実現しています。

さらに、KC-767では先進的な操作システムが導入されています。コックピット後部には遠隔空中給油操作ステーション（RARO）があり、オペレーターはモニターを通して給油操作を行うため、物理的な視認性が向上しました。また、3Dゴーグルや大型ディスプレイを利用することで高精度な給油が可能になっています。

輸送時には、キャビンを貨物や人員輸送用に利用することができ、最大200名の搭乗や、パレット化された貨物の輸送が行えます。加えて、機体の下部貨物室を使用することもでき、機能的な輸送能力が求められる現代の軍事需要に応えています。

運用の現状

イタリア

イタリア空軍は2001年にKC-767Aの採用を決定し、2005年から受領を開始しました。特に生物学的封鎖機能を備えており、2020年には新型コロナウイルスのパンデミック時に自国民の帰還を担った事例もあります。

日本

航空自衛隊は2001年にKC-767を採用し、2007年からの納入が始まりました。自衛隊は8機の調達を考えていましたが、予算削減にさらされ、最終的に4機で運用しています。これにより、長距離任務の遂行能力が向上し、海賊対策などにも貢献しています。

アメリカ

アメリカではKC-767がKC-X計画に基づいて提案され、最終的にKC-46に発展しました。空軍は179機の空中給油機の更新を検討し、この新機種が長期的な戦力維持を助ける役割を果たすことが期待されています。

その他の国

性格的には、イスラエルにおいてはB767 MMTTが開発され、コロンビアやブラジルでも運用が考慮されていますが、KC-767系列の機体に比べ、運用条件や経済性が課題とされています。

まとめ

KC-767は、空中給油機としての高い性能と多用途な輸送能力を両立しており、各国の軍事戦略において重要な役割を果たしています。技術の進化と共にその運用方法も変わり、今後の展開が注目されます。

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