KEY THE METAL IDOL

KEY THE METAL IDOL（キィ・ザ・メタル・アイドル）

1994年から1997年にかけて発売された全15話のOVA作品。ポニーキャニオンOVA製作10周年記念作として、VHSビデオを媒体に1巻1話（25分）収録でリリースされた。当初は各巻2500円と安価に設定され、第1巻は初回1000円で販売された。当初は月1巻のペースで全26話が予定されていたが、制作の遅れからペースダウン、最終的には14巻・15巻は1話95分という変則的な構成となった。

VHS版の他、LD版とDVD版も発売。こちらは1巻に複数話を収録し、6000〜7000円で販売された。後にDVD-BOXも発売されている。また、ニッポン放送でラジオドラマも放送され、全4枚のCDが発売された。ラストシーンの歓声は、九段会館でのイベントで収録されたものが使用されている。

ストーリー

物語の舞台は山間の村、猯尾谷（まみおだに）。そこに住む17歳の少女、巳真兎季子（みま ときこ）は、祖父・武羅尾（むらお）に作られたロボット「キィ」だと信じていた。武羅尾は突然、「友を集めなさい」と言い残し事故死。キィは、本当に自分を思ってくれる友を3万人集めれば人間になれると教えられていた。

祖父の遺言を果たすため東京へ向かったキィは、幼なじみの厨川さくら（くりやがわ さくら）と再会。さらに、人気歌手・鬱瀬美浦（うつせ みほ）のライブ映像を見たキィは、3万人の友達を集めるためにアイドルになることを決意する。

しかし、キィの周囲では奇妙な事件が頻発。夜の街を徘徊するロボット、PCスピーカーから聞こえる謎の歌、そして若木知葉（わかぎ ともよ）と「D」の死闘。事件の裏には、巨大軍事企業を率いる蛙杖仁策（あじょう じんさく）の存在があった。

登場人物

主要人物

巳真兎季子（みま ときこ）
声 - 岩男潤子
本作の主人公。通称「キィ」。祖父・武羅尾に作られたロボットだと信じている。外見は普通の少女だが、無表情で抑揚のない話し方が特徴。しかし、周囲の想いに触れることで人間らしい感情を見せる。祖父の遺言を果たすため上京し、アイドルを目指す。

実は、幼い頃は人間の少女だったが、猯尾神社の巫女の能力を受け継いでいた。その能力を封印するため、母親が抽出した3万人分の「想い」で封印されていた。彼女が人間になるためには、その「想い」を上回る人の「想い」が必要となる。

物語が進むにつれ、彼女の出生の秘密、隠された力が明らかになり、人間、ロボット、半ロボット状態を遷移しながら物語は進む。

厨川さくら（くりやがわ さくら）
声 - 長沢美樹
キィの幼なじみで親友。両親を探して上京し、キィと再会。キィをマンションに同居させ、人間になるという夢を応援する。キィとは対照的に表情豊かで行動的。三和土州一に恋心を抱いている。
物語終盤で蛙杖に捕らえられ、想いを奪われ命を落とす。

三和土州一（たたき しゅういち）
声 - 森川智之
美浦の熱狂的なファンで、ファンクラブの会長。さくらのバイト先のレンタルビデオ店でキィと知り合い、彼女の持つ不思議な力に深く関わるようになる。
物語が進むにつれ、キィの秘密を知り、知葉と行動を共にする。最終的には、キィを人間に戻すきっかけを与えた。

若木知葉（わかぎ ともよ）
声 - 家中宏
武羅尾の助手だった謎多き男性。キィを密かに守るボディーガード。キィの力や蛙杖仁策について何かを知っている。

芸能界

吊木光（つるぎ ひかる）
声 - 三木眞一郎
芸能界で成功を収めるプロデューサー。美浦をトップスターに育て上げたが、現在は袂を分かつ。冷淡で独占欲が強い性格。美浦を傷つけたことで紅子によって瀕死に追い込まれ、キィと共に蛙杖のビルに向かうもさくらを選んだキィに絶望し、自ら命を絶つ。

鬱瀬美浦（うつせ みほ）
声 - 芝原チヤコ
絶大な人気を誇る女性シンガー。しかし、病気で療養中とされていた。実際は蛙杖によって無理やり歌手活動をさせられていた。体調が悪く、鎮痛剤としてゲルを投与されていた。

玉利仙市（たまり せんいち）
声 - 小野健一
アダルトビデオメーカー「V&A」の社長。蛙杖にタレントを売り込んでいる。キィよりもさくらに逸材を感じ、付きまとうようになる。後にキィを人間に戻す手助けをする。

古森紅子（こもり べにこ）
声 - 芝原チヤコ
美浦と同じ声を持つ新人歌手。実は美浦の代役で、PPOR。短気で喧嘩っ早い性格。

築山（つきやま）
声 - 堀本等
州一の仲間で、美浦のファンクラブメンバー。一連の事件には関わらず、美浦への情熱を失う。

巳真家関係者

巳真武羅尾（みま むらお）
声 - 北村弘一
キィの祖父。かつて天才的なロボット工学者だったが、現在は隠居生活を送る。キィに「三万人の友を集めれば人間に戻れる」と言い残し死去。

巳真登美子（みま とみこ）
武羅尾の妻でキィの祖母。故人。猯尾神社の巫女。

巳真兎与子（みま とよこ）
声 - 井上喜久子
武羅尾の娘でキィの母。故人。

アジョー重工関係者

蛙杖仁策（あじょう じんさく）
声 - 速水奨
巨大企業「蛙杖重工」の総帥。武羅尾とは因縁がある。ロボット兵器の実用化を目論み、キィを利用しようとする。

「D」（ディー）
声 - 小杉十郎太
蛙杖の部下で、PPOR開発チームの責任者。元傭兵。若木とは過去に因縁がある。

菰田（こもだ）
声 - 中村大樹
蛙杖の秘書。忠実な部下だが、迂闊な面がある。

研究開発スタッフA、B、C
眼鏡の男A（声 - 小形満）若い男B（声 - 中村大樹）、小太りの男C（声 - 菅原淳一）。
蛙杖の部下で、PPOR開発チームのメンバーたち。Bは中盤で蛙杖への不信感が露になり、ゲルを奪われ幽閉される。

マエストロ
声 - 肝付兼太
蛙杖の部下で、PPORの設計者。武羅尾とも関係がある。

青射（あおい）
声 - 大塚明夫
ミノスの社長。蛙杖のやり方に嫌気がさし、縁を切る。真実を知るため、吊木と合流し、キィを人間に戻す手助けをする。

金蛇救世素晴希講

蛇目王子（じゃのめおうじ）
声 - 峰恵研、緒方賢一（代役）
新興宗教の教祖。キィの力を利用しようとするが、実はキィを守るためだった。若い頃に兎与子に救われた。

寿彦（としひこ）
声 - 長沢美樹
蛇目王子の信者の息子。キィに救われたことをきっかけに、彼女を慕う。

用語

猯尾谷（まみおだに）
キィが住む山間の村。外界と隔絶した独自の歴史を持つ。

アジョー重工
東京に本社を置く巨大企業。兵器を扱う軍需産業の面も持つ。

PPOR（ピーピーオーアール）
アジョー重工が開発する人型ロボット。人間の精神波で遠隔操作される。

ゲル
人間の「想い」が物質化したもの。超低温で、搾取されると人間は衰弱する。PPORのエネルギー源になる。

プロダクション・ミノス
美浦が所属する芸能プロダクション。アジョー重工の出資で運営されている。

スタッフ

原作・監督・脚本 - 佐藤博暉（ポニーキャニオン）
キャラクター原案 - 田中久仁彦
キャラクターデザイン・総作画監督 - 石倉敬一
メカニックデザイン - スタジオレスポンス（#1 - #7）→竹内志保（#8 - #15）
音楽 - 寺嶋民哉
アニメーション制作 - スタジオぴえろ

主題歌

オープニングテーマ「In the Night」
歌・作詞・作曲 - 貴島サリオ（ドラマCD - 岩男潤子） / 編曲 - 安部潤
エンディングテーマ「私がそばにいる」
歌・作詞・作曲 - 貴島サリオ（ドラマCD - 長沢美樹） / 編曲 - 安部潤
主題歌（第15話）「手のひらの宇宙」
作詞 - 濱田理恵 / 作・編曲 - 寺嶋民哉 / 歌 - 岩男潤子
挿入歌（第15話）「キィのララバイ」
作詞 - 佐藤博暉 / 作・編曲 - 寺嶋民哉 / 歌 - 岩男潤子
OVA全巻購入特典シングルCDおよび初回限定生産DVD-BOX同梱CD収録。

関連商品

ドラマCD
ニッポン放送でオンエアされたラジオドラマを収録。
「友だち」「家族」「憧れ」「東京」の全4枚

音楽CD
BGMやボーカル曲を収録したCDが複数発売。

書籍
設定資料集や原画集が発売。

英語版

ビズメディアにより北米で発売。
オープニング、エンディング曲は英語版。
第15話の主題歌と挿入歌は、キィ役のニコル・オリバーによる英語版が収録。

もう一度検索