L-ATV

L-ATV (Light Combat Tactical All-Terrain Vehicle)

L-ATVは米国のオシュコシュ・コーポレーションによって開発された4×4の装輪式軍用車両です。多目的に使用され、特にアメリカ軍の陸軍や海兵隊で広く採用されています。1980年代から使用されていたハンヴィーの後継車両を選定するJLTV（統合軽戦術車両）計画で、2015年8月に正式に採用されました。L-ATVは軽量でありながら、MRAP（地雷防護装輪装甲車）やM-ATVと同等の防護能力を持つように設計されています。このことから、M1114やM1151といった装甲ハンヴィーの後継としての役割を担っています。JLTV計画では、最終的にL-ATVが2019年から2040年にかけて49,099両導入予定であり、さらに2020年から2022年にかけて海兵隊には5,500両が供給される計画です。

開発の背景

イラク戦争後、アメリカ軍はハンヴィーの多くが地雷やIEDによって重大な損失を被ったことから、2007年にJLTV計画を開始しました。MRAPの急増に対して米軍が求める防御力も確保する必要があったものの、重たいMRAPの仕様では空輸が難しかったため、JLTVはMRAPと同等の防護を持ちながらも、車体重量をMRAPの約2/3に抑えることが求められました。

開発史

オシュコシュ社は初期JLTV計画においてノースロップ・グラマンやプラサンと共同提案を行いましたが、選定からは外れてしまいました。その後、改良型のM-ATVが選定され、2011年にはL-ATVを初公開しました。この試作は招待客向けに限定公開されたものでしたが、L-ATVはオシュコシュ社の中で最も軽量の軍用車両として注目を集めました。2012年にはEMDフェイズの選定で三社の試作車両が認められ、試験が実施されました。

構造と性能

L-ATVは、オシュコシュ社によって開発されたTAK-4i独立懸架サスペンションシステムを搭載しており、このシステムは既存の多数の車両にも採用されています。搭載エンジンはデジタル制御されたGM製V8-6.6Lディーゼルエンジンで、出力は300hp以上と推定されています。装甲防御は装甲ハンヴィーよりも高く設定され、MRAPと同等のレベルを確保しつつも、車体サイズはより小型軽量化されています。

L-ATVはA-キットとB-キットという2種類の追加装甲を装着でき、必要に応じて戦場で武装を強化することができます。装備も豊富で、銃塔やスモークディスチャージャーなどが取り付けられることから、多様な任務に対応可能です。

派生型

JLTVの要求仕様に基づき、乗員4名のCTV（Combat Tactical Vehicle）や、乗員2名のCSV（Combat Support Vehicle）といったタイプが開発されています。さらに、アメリカ海兵隊によるNMESISというニュータイプの無人車両もL-ATVをベースに開発されており、NSM対艦ミサイルを搭載することが期待されています。

L-ATVは、アメリカ軍の新しい運用に適した強固な車両として、その存在感を高めており、今後の戦闘運用において重要な役割を果たすでしょう。

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