L.D.K. Lounge Designers Killer

capsule『L.D.K. Lounge Designers Killer』

『L.D.K. Lounge Designers Killer』（ラウンジ・デザイナーズ・キラー）は、capsuleが2005年9月21日にリリースした6枚目のオリジナルアルバムです。contemodeレーベルから発売されました(品番：YCCC-10003)。本稿では、2022年2月5日に配信リリースされたリマスター版『L.D.K. Lounge Designers Killer (2021 Remaster)』についても併せて解説します。

アルバムの背景

アルバム発売に先駆け、2005年9月7日には収録曲から3曲を収録した12インチアナログ盤『AEROPOLIS』が限定リリースされています。前作『NEXUS-2060』から約半年という短い期間でのリリースとなりました。さらに、同年11月16日にはiTunes Storeで配信が開始され、その際にはボーナストラックとして「jelly」が追加収録されました。

制作について

本作は、中田ヤスタカが前作『NEXUS-2060』をリリースした時期に、自身の引っ越しを経験したことがきっかけで構想されました。この体験が、アルバム全体のコンセプトやサウンドに影響を与えています。

ミュージックビデオ

アルバム収録曲には、いくつかのミュージックビデオが制作されています。

空飛ぶ都市計画：スタジオカジノ（スタジオジブリ）制作の劇場アニメ作品で、SF3部作の完結編です。百瀬ヨシユキが監督、中田ヤスタカが原作・音楽を担当しました。この作品は、ベストアルバム『FLASH BEST』の初回限定盤DVDや、スタジオジブリの短編集にも収録されています。また、2022年1月には『CAPSULE アーカイブコレクション』の一環としてリマスター音源と共にビジュアライザー映像が公開されました。この映像には、本作と前作『space station No.9』の映像が一部使用されています。
グライダー：中田ヤスタカ自身が監督を務めたミュージックビデオで、ベストアルバム『FLASH BEST』の初回限定盤DVDに収録されています。

楽曲解説

アルバムには、様々なスタイルの楽曲が収録されています。特に、BPM（Beats Per Minute）を変化させて収録する手法が特徴的です。

1. Nostalgia
2. テレポテーション：BPM170で制作され、1.0293倍速で収録（BPM174.981）。中田ヤスタカの楽曲の特徴である加速処理が施されています。2007年までの作品に多く見られる手法です。
3. Lounge Designers Killer：ether22がゲストボーカルとして参加しています。
4. twinkle twinkle poppp!：BPM105で制作され、1.05946倍速で収録（BPM111.2433）。元のキーから半音上がった状態で聞こえるように調整されています。
5. tiC taC：BPM80で制作され、1.03倍速で収録（BPM82.4）。
6. アンテナ：BPM85で制作され、1.005倍速で収録（BPM85.425）。
7. グライダー：楽曲完成時に中田が「空を飛んでいるようだ」と感じたことから、タイトルと歌詞が決定。BPM128で制作され、約1.04126倍速で収録（BPM133.28128）。
8. 人類の進歩と調和：BPM170で制作され、約1.04126倍速で収録（BPM177.0142）。
9. 空飛ぶ都市計画
10. space station No.9
11. jelly：iTunes Store限定で収録された楽曲で、BPM125で制作され、1.0293倍速で収録（BPM128.6625）。後にアナログ12インチシングルとしてシングルカットされましたが、そちらにはextended-mixが収録されています。

シングル収録

アナログ盤シングル「AEROPOLIS」には、「空飛ぶ都市計画」、「Lounge Designers Killer」が収録。いずれもアルバム版より約2分長いextended mixとなっています。

タイアップ

アルバム収録曲は、様々なメディアでタイアップとして使用されました。

「Nostalgia」：『Nスタみやぎ』（東北放送）テーマ曲
「テレポテーション」：『花影忍法帳コミ☆トレ』（NHK教育テレビ）オープニングテーマ、『サタナビっ!』（秋田朝日放送）2代目オープニングテーマ
「グライダー」：『abnステーション』（長野朝日放送）エンディングテーマ、テレビ東京系『やりすぎコージー』エンディングテーマ

楽曲情報

全曲、作詞・作曲・編曲を中田ヤスタカが担当しています。

L.D.K. Lounge Designers Killer (2021 Remaster)

『L.D.K. Lounge Designers Killer (2021 Remaster)』は、2022年2月5日に配信限定でリリースされたリマスターアルバムです。オリジナル版の楽曲がリマスタリングされていますが、iTunes Storeボーナストラックであった「jelly」は収録されていません。

リマスター版の背景

このリマスターアルバムは、『CAPSULE アーカイブコレクション』プロジェクトの一環としてリリースされました。過去作品をリマスター音源とビジュアライザーと共にYouTubeで公開する企画で、本アルバムの収録曲も2022年1月25日から2月3日までの10日間、連日公開されました。

リマスターによる変更点

リマスター版では、以下の点が変更されています。

テレポテーション (2021 Remaster)：オリジナル版では1.0293倍速（BPM174.981）だったものが、リマスター版では1.02337倍速（BPM173.9729）となり、わずかにテンポが遅くなっています。
アンテナ (2021 Remaster)：オリジナル版では最後まで音が続いていたのに対し、リマスター版ではフェードアウト処理が施されています。

リマスター版楽曲情報

全曲、作詞・作曲・編曲を中田ヤスタカが担当しています。

カバーについて

アルバム収録曲は、他のアーティストによってカバーされています。

きゃりーぱみゅぱみゅ - 「do do pi do」（アルバム『ピカピカふぁんたじん』に収録）
きゃりーぱみゅぱみゅ - 「jelly」（ミニ・アルバム『もしもし原宿』に収録）

このアルバムは、中田ヤスタカの実験的なサウンドデザインと、capsuleの音楽性の進化を示す重要な作品です。リマスター版では、さらに洗練されたサウンドを楽しむことができます。

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