LGV南ヨーロッパ大西洋線

LGV南ヨーロッパ大西洋線の概要

LGV南ヨーロッパ大西洋線（LGV SEA）またはLGV南西線は、フランスのトゥールとボルドーを結ぶ高速鉄道路線です。この路線は、パリから南西方向へ延びるLGV大西洋線の一部で、ボルドー方面に向かうTGVが運行されています。南西フランスのポワトゥー＝シャラント地域圏、アキテーヌ地域圏、ミディ＝ピレネー地域圏を結び、さらには北ヨーロッパのパリ、ロンドン、ブリュッセルといった都市へのアクセス向上が見込まれています。

目的と計画

最終的な目的は、トゥールとボルドー間の現行の所要時間を、大幅に短縮することです。現在3時間から3時間半かかる移動を、最高速度300 km/hで2時間10分程度に短縮することが計画されています。このプロジェクトにより、都市間の連絡が改善され、フランス南西部と他のヨーロッパ諸国との接続が強化されます。

LGV南西線の建設は、既存の在来線の容量が逼迫しているという問題とも密接に関連しています。在来線内では、最高速度220 km/hで運行されるTGVと、遅いローカル列車（TER）、さらには貨物列車が同じ線路上で混在しており、これが運行の効率を妨げています。新しい高速専用線を建設することによって、より多くの貨物列車やTERが既存の在来線で運行できるようになることが期待されています。

環境への配慮と経済効果

新線の建設による利点は、効率的な運行だけではなく、環境への配慮にもつながります。混雑している区間に新たなTER網を設けたり、貨物列車の運行回数を増やすことにより、道路交通の減少と環境負荷の軽減が見込まれます。また、建設によって生じる経済的な効果も注目されています。アングレームからボルドー間の第1期計画によって、約1万人の雇用が創出されると予想されており、新線の開業により地区の産業振興が期待されています。

公共と民間の協力

LGV南西線の事業は完全に国有ではなく、LISEAコンソーシアムがの総合的な管理を行っています。このコンソーシアムは、民間と官庁が協力して構成されています。具体的には、建設会社ヴァンシ（33.4%）、金融機関預金供託金庫（25.4%）、投資信託メリディアム（22.0%）、およびアルディアン（19.2%）が共同設立しており、フランス鉄道線路事業公社が投資と資金援助を行っています。

鉄道経路と駅

新しいLGV南西線では、リブルヌはバイパスされる予定で、既存の線路よりも距離が短縮されます。トゥールとボルドーの間には新駅は設置されず、シャテルロー、ポワチエ、アングレームといった既存の駅が利用されることになります。また、ポワチエの南側ではラ・ロシェルへ向かう連絡線も接続し、交通の便が一層向上します。

財政的概要

この300 km/h対応の新線建設にかかる費用は約47億ユーロと見込まれており、開業後は年間約500万人の旅客増加が期待されています。2012年には工事が開始され、試運転が行われたのは2017年2月、それを経て7月には正式に開業しました。

こうした計画や取り組みは、フランス国内の交通インフラの充実とともに、地域経済の活性化にも資するものと期待されています。

もう一度検索