LGV南東線

LGV南東線 (LGV Sud-Est)

LGV南東線（LGV Sud-Est）は、フランスのパリとリヨンを結ぶ重要な高速鉄道路線です。この路線は、1981年9月22日に最初の区間であるサン・フロランタンとサトネー間の273kmが開業し、フランス初の高速新線としての歴史を刻みました。この開業によって、フランス国内の鉄道網が飛躍的に拡大し、ヨーロッパ全体の鉄道旅客輸送にも大きな影響を与えることとなりました。特にこの時期には、日本の東北新幹線や上越新幹線が開業を控えており、これらとの比較がしばしば行われました。

1983年には、イル・ド・フランスのコン＝ラ＝ヴィルとサン・フロランタン間の新しい区間も開業し、パリとリヨン間が、既存の在来線を避けて高速新線で結ばれることとなります。休日や旅行シーズンには、これにより多くの人々が便利に移動できるようになりました。また、南方面にはLGVローヌ・アルプ線やLGV地中海線、北方面にはLGV東連絡線が延伸され、フランスの国土を縦断する重要な鉄道路線網が形成されました。これにより、所要時間が大幅に短縮され、スイスやイタリアへもアクセスが容易になっています。

路線の特徴と概要

元々は「パリ南東線」という名称で呼ばれていましたが、後に「南東線」と改称されました。この路線は、当初から旅客専用で設計され、重軸17トン、最急勾配は35‰となっています。日本やイタリアの山岳地帯とは異なり、フランスには丘陵地帯が広がっているため、トンネルや橋梁の建設を最小限に抑え、約70%が地上区間として構築されました。このため、建設費は東海道新幹線の約半分とされています。また、南東線はセーヌ＝エ＝マルヌ、ヨンヌ、コート＝ドール、ソーヌ＝エ＝ロワール、アン、ローヌの6つの県を貫通しています。

都市部では、既存の駅を活用できるため、パリではリヨン駅に、リヨンではリヨン・ペラーシュ駅に直通します。これにより建設費の削減が実現しました。しかし、リヨン駅では新たな発着線を確保するために近郊電車（RER）が地下に移設され、地下2階と地上を合わせた3層構造となっているため、一部の追加費用が発生しています。

リヨン・パールデュー駅は市街地の再開発に伴い新設され、ショッピングセンターやホテルが併設された複合的な交通拠点となっています。この駅は高架に建設され、周囲の施設と接続されています。なお、パリからリヨン間の409kmのLGV区間は、在来線ルートの512kmと比べて劇的な距離短縮が実現しています。

また、LGVの接続路線として、パシリー・エジーではディジョン方面との繋がりがあり、ジュラ山脈を越えてスイスのいくつかの都市と結ばれています。サン・フロランタンや、クルーゾ、マコン＝ロシェの各TGV駅は、主要な停車駅として機能しており、緊急時のダイバートにも使用されることがあります。

最高速度と保安設備

開業時の最高速度は260km/hでしたが、当初の計画よりも走行抵抗が少ないため、後に270km/hに引き上げられました。これに対し、開業した日本の東北新幹線や上越新幹線は210km/hに留まっており、性能差が際立ちました。また、信号保安設備については独自のシステム（TVM300）が搭載され、その後、300km/hに対応するTVM430に改良されています。

軌道の中心間隔は4.2m、プラットフォームは13mの幅で、曲率半径は4,000mに設定されており、300km/hでの走行が可能です。電力供給はフランス電力公社によって行われ、交流25kV50Hzの電力が使用されています。

沿革

この高速鉄道プロジェクトは、1967年にフランス国鉄によって始まり、1976年に正式に着工されました。開業までの間には、計画と工事が綿密に進められ、1981年には営業運転が開始されました。その後も、さまざまな改良や接続路線の開業が行われ、現在のような発展した鉄道網へと成長しています。今日においても、LGV南東線はフランス国内はもちろん、国際的な旅客輸送の基盤として重要な役割を果たしています。

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