LP 791-18

LP 791-18恒星系：小型恒星と多様な惑星たち

LP 791-18（またはTOI-736としても知られる）は、地球からおよそ87光年の彼方、夜空のコップ座の方向に位置する小さな恒星です。この星は、太陽よりもずっと温度が低い「赤色矮星」に分類され、周囲に複数の惑星が発見されている恒星としては、特に小ぶりな部類に属します。

この恒星系における太陽系外惑星の探査は、まず2019年にアメリカ航空宇宙局（NASA）の宇宙望遠鏡TESS（トランジット系外惑星探索衛星）によって進められました。TESSの観測データから、LP 791-18の周りを回る二つの惑星の存在が明らかになったのです。その後、2023年には同じくNASAのスピッツァー宇宙望遠鏡を用いたさらなる観測により、新たに三つ目の惑星が見つかりました。これにより、LP 791-18は少なくとも3つの惑星を持つ恒星系であることが確定しました。

LP 791-18の惑星系

現在までに確認されているLP 791-18の惑星は、主星に近い側から順に以下の3つです。

惑星b: この恒星系で最も主星に近い軌道を回る惑星です。地球よりもかなり大きな質量を持つ「スーパー・アース」と考えられており、2019年に惑星cと共に最初に発見されました。
惑星d: 惑星bと惑星cの間に位置する軌道を持つ惑星で、2023年に発見された比較的新しいメンバーです。質量は地球とほぼ同じであると推測されています。
* 惑星c: この恒星系で最も主星から遠い軌道を公転する惑星です。ガス成分が多いと考えられる「ミニ・ネプチューン」型の惑星であり、惑星bと共に2019年に発見されました。

惑星dの特異な性質と生命居住可能性

LP 791-18の惑星系の中でも、特に科学者たちの注目を集めているのが惑星dです。この惑星は、外側の惑星cと重力的に互いに影響し合っていると考えられています。このような惑星間の相互作用は、惑星dの内部で潮汐加熱と呼ばれる現象を引き起こす可能性があります。潮汐加熱とは、惑星が主星や他の惑星の重力によって伸縮を繰り返し、その際の摩擦熱によって内部が温められる現象です。もしLP 791-18dで実際に強い潮汐加熱が起きているならば、それは木星の最も内側の主要な衛星であるイオに見られるような、活発な火山活動を引き起こしているかもしれません。

さらに、惑星dの軌道は、主星LP 791-18の「ハビタブルゾーン」の、特に内側の境界線付近に位置していると計算されています。ハビタブルゾーンとは、惑星の表面に液体の水が存在しうる可能性のある、主星からの距離の範囲を指します。惑星dは主星に比較的近いため、昼側は非常に高温になると予測されますが、自転と公転が同期している場合などに生じる永続的な「夜側」の領域においては、液体の水が安定して存在できる温度になっている可能性が理論的に指摘されています。もし十分な量の大気と水が存在するならば、この夜側の領域が生命にとっての潜在的な居住環境となりうるわけです。

将来の観測

LP 791-18恒星系、特に惑星dとcは、今後の詳細な観測の主要なターゲットとなるでしょう。例えば、2021年には、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡（JWST）を用いて惑星cの大気を分析する提案がなされています。このような次世代の宇宙望遠鏡による観測は、これらの惑星の大気組成や温度構造、さらには惑星dの火山活動や水の存在可能性について、より具体的な情報を得る手がかりとなることが期待されています。

LP 791-18恒星系は、小型の赤色矮星の周りに多様な性質を持つ惑星が存在する典型的な例として、系外惑星系の形成や進化、そして他の惑星系における生命居住可能性を探る上で、非常に重要な研究対象となっています。

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