LTT 1445

LTT 1445

LTT 1445は、地球から約22光年と比較的近い距離にある、エリダヌス座方向の天体システムです。スペクトル分類がM型の赤色矮星3つからなる三重星系であり、その主星であるLTT 1445 Aの周囲からは複数の太陽系外惑星が発見されています。この星系は、特にトランジット（恒星の手前を惑星が通過する現象）を起こす惑星系としては、既知の中で地球から最も近い部類に属する天体の一つとして注目されています。

恒星系

LTT 1445星系を構成する3つの恒星、LTT 1445 A、B、Cは、いずれも太陽より質量が小さく低温なM型赤色矮星です。質量は太陽の約0.16～0.26倍の範囲にあります。主星のLTT 1445 Aと、伴星のペアであるLTT 1445 BおよびCは、約34天文単位（au）離れて約250年周期で公転しています。一方、BとCは互いに約36年周期で周回しています。この星系は、複数の天体の軌道面がほぼ同一平面上にある「共面」の配置を示唆しています。TESS衛星による観測では、恒星の活動に起因する明るさの変動が捉えられており、これは主にBまたはCで発生している恒星フレアなどが原因と考えられています。

惑星系

LTT 1445星系の主星LTT 1445 Aの周囲では、これまでに3個の太陽系外惑星が見つかっています。

LTT 1445 Ab

最初に発見された惑星LTT 1445 Abは、2019年にTESS衛星のデータからトランジット法によって見つかりました。公転周期は約5.36日です。高精度視線速度観測などによるフォローアップ観測から、質量は約2.87地球質量と測定されており、地球と似た岩石で構成される惑星であることが確認されています。主星に近い軌道ですが、赤色矮星が小さく暗いため、表面の平衡温度は約160℃と推定されています。

LTT 1445 Ac

2番目の惑星LTT 1445 Acは、2022年の研究で発見されました。公転周期は約3.12日です。発見時の質量は約1.54地球質量と見積もられました。LTT 1445 Acもトランジットを起こしますが、サイズが小さいため検出が難航しました。LTT 1445 Abとは約12:7の軌道共鳴に近い関係にあります。2023年にハッブル宇宙望遠鏡による観測が行われ、AbとAcはいずれも岩石でできた地球型惑星であることが確認されました。Acは以前よりも地球に近いサイズであると判明し、表面の平衡温度は約243℃と求められています。

LTT 1445 Ad

3番目の惑星候補LTT 1445 Adは、2022年10月にESPRESSOを用いたドップラー分光法により発見が公表されました。この惑星は内側の2つよりも外側を公転しており、公転周期は約24.30日です。これまでの観測では、LTT 1445 Adはトランジットを起こさないと考えられています。

LTT 1445星系は、地球に近く、複数の地球型惑星、特にトランジットを起こす惑星が存在するという点で、詳細な追観測が非常に期待される天体システムです。

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