LVTP-6

LVTP-6：アメリカ海兵隊の水陸両用装甲兵員輸送車

LVTP-6（Landing Vehicle Tracked, Personnel - model6）は、アメリカ合衆国で開発された水陸両用の装甲兵員輸送車です。アメリカ海兵隊が上陸作戦で使用するために開発されました。

概要

LVTP-6は、FMC（Food Machinery Corporation）社によって、アメリカ海兵隊向けに開発されました。上陸作戦において、沖合の揚陸艦から海岸へ兵員を輸送し、上陸後は通常の装甲兵員輸送車として運用することを目的としています。

同時期に開発されていた大型水陸両用装甲車LVTP-5と併用する計画で、1951年から開発が開始され、1956年にLVTP-6として正式採用されました。しかし、アメリカ海兵隊の方針転換により、制式化はされたものの量産は行われませんでした。兵員輸送型の他に、火力支援型と対空自走砲型が開発されましたが、いずれも試作のみで量産には至っていません。

開発の経緯

アメリカ海軍艦船局は、第二次世界大戦で使用されたLVTシリーズの後継として、1946年から次期水陸両用装甲車の研究・開発を開始しました。FMC社は、水上での高速性を重視した水陸両用装甲車両の設計案を提案し、1947年には試作車を製作しました。

この試作車は、総重量22トンで、角度の付けられた装甲板で構成されたスピードボートに、装軌式の走行装置を取り付けたようなデザインでした。しかし、構造が複雑で車格に対して搭載量が少ないという問題点があり、海兵隊の評価は高くありませんでした。

その後、正式に開始された新型水陸両用車開発計画では、大型で搭載量に優れるデザインの車両が採用されました。これに基づいて、LVT-5シリーズが開発されましたが、FMC社は「より小型で安価な水陸両用装軌車の必要性がある」として、LVTP-X2 middle weight class Amtrac（中重量級アムトラック）なる名称の水陸両用車案を提案し、開発計画に再参入しました。

海兵隊側にも同様の意見があり、LVTP-X2の開発が続行されることになりました。M59装甲兵員輸送車の試作型であるT59を基に開発が開始され、1952年よりエンジンの異なる試作車が複数製作されました。その中で、クライスラー製のエンジンを搭載したものが量産車として選定されました。

試作車はLVTP-5に比べて小型ながら、凌波性に優れており、10フィートまでの波浪の中でも安定した水上航行が可能でした。地上での走行性能も良好であり、試験での評価も高く、「LVT-6」として採用が決定し、派生型の開発も開始されました。

1956年には、基本の兵員輸送型がLVTP-6として正式に採用されましたが、LVTP-5が既に順調に量産されており、改良型のLVTP-5A1が完成していたことから、海軍艦船局および海兵隊は「2種類の車両を並行装備する必要性はない」と結論し、LVTP-6は制式化されたものの量産発注は行われませんでした。

これにより、LVT-6シリーズの開発計画は中止され、派生型の火力支援型LVTH-X4、対空型LVTAA-X2の開発も試作のみで中止となりました。

各型と派生型

LVTP-X2 (試作型):
LVTP-X2 (I): キャデラック社製エンジン搭載
LVTP-X2 (II): GMC社製エンジン搭載
LVTP-X2 (III): クライスラー社製エンジンとオートマチックトランスミッション搭載（LVTP-6の原型）
LVTP-X2 (III-2): クライスラー社製エンジン搭載（量産車）
LVTP-6 (兵員輸送型): 12.7mm重機関銃装備
LVTH-X4 (火力支援型): 105mm榴弾砲と7.62mm機関銃を装備
LVTAA-X2 (対空自走砲型): M42ダスター自走高射機関砲の砲塔を搭載

備考

資料によっては、LVTP-5の火力支援型であるLVTH-6と混同されている場合があるので注意が必要です。

参考文献・参照元

スティーブン・ザロガ 著、武田秀夫 訳『オスプレイ・ミリタリー・シリーズ 世界の戦車イラストレイテッド15 アムトラック 米軍水陸両用強襲車両』大日本絵画、2002年。ISBN 978-4499227810。
Военный паритет＞Номенклатура вооружений＞США＞Бронетанковая техника＞6. ГУСЕНИЧНЫЕ БРОНЕТРАНСПОРТЕРЫ и специальные машины на их базе

関連項目

LVT
LVTP-5
M59装甲兵員輸送車
水陸両用車
* アメリカ海兵隊

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