Little Bit…

WANDS 3rdアルバム『Little Bit…』：東芝EMI時代の最終作品にして、ミリオンヒットを記録したミニアルバム

1993年11月21日にリリースされたWANDSの『Little Bit…』は、公式には3枚目のアルバムとして位置づけられています。規格上はミニアルバムですが、収録されている7曲のどれもが魅力的で、WANDSの代表作の一つと言えるでしょう。

前作からわずか半年という短いスパンでのリリースにもかかわらず、本作はオリコンチャートでミリオンヒットを記録するなど大きな成功を収めました。このアルバムには、既にヒットしていたシングル2曲に加え、4thシングル「時の扉」のカップリング曲が収録されているのもポイントです。

アルバムジャケットとレコーディングの裏側

アルバムのジャケット写真は、東京駅八重洲口の赤レンガ側で早朝6時頃に撮影されました。早朝の静寂の中で撮影された写真からは、独特の雰囲気と、アルバム全体の持つ繊細なムードが感じられます。

このアルバムは、WANDSが東芝EMIに所属していた最後の作品という重要な意味も持ちます。リリース後、WANDSはB-Gram RECORDSに移籍したため、『Little Bit…』は廃盤となり、後にB-Gram RECORDSから再発盤がリリースされました。(再発盤発売日：1994年4月1日)

さらに、このアルバムには収録されなかった楽曲も存在します。アウトテイクである「恋せよ乙女 -Remix-」は『SINGLES COLLECTION+6』に、「君が欲しくてたまらない」（ZYYGの楽曲のカバー）は『complete of WANDS at the BEING studio』に収録されています。これらの楽曲の存在は、アルバム制作時の活気と、WANDSの幅広い音楽性を物語っています。

音楽性と収録曲

CDジャーナルのレビューでは、「説明不要の“平成のスペクター・サウンド”」と評され、シングル3曲を中心とした構成ながら、「もうちょっと聴きたい」と思わせる魅力が本作にはあると指摘されています。まさに、次なる作品への期待感を高める、絶妙なバランス感覚が感じられる作品と言えるでしょう。

収録されている楽曲は、どれもWANDSらしさが光るものばかりです。代表的なシングル曲に加え、アルバムのために書き下ろされた楽曲も収録されており、バラエティに富んだ聴き応えのある内容となっています。特に注目すべきは、アルバム曲でありながらPVが制作された「DON'T CRY」でしょう。上杉昇氏はこの曲を制作できたことを、アルバム制作において最も大きな出来事として語っています。また、「君にもどれない」はMANISHの楽曲のセルフカバーで、本作ではギターソロや大黒摩季氏によるコーラスが追加されるなど、アレンジが施されています。

その他の楽曲も、WANDSの音楽性の幅広さを感じさせる、聴き応えのあるものばかりです。「Little Bit…」は織田哲郎氏による作曲で、後に織田氏自身がセルフカバーしています。

参加ミュージシャン

Vocal：上杉昇
Guitar：柴崎浩
Keyboards：木村真也

Chorus：川島だりあ (#3), 大黒摩季 (#5), 大田紳一郎 from BAAD (#4)

これらのミュージシャンたちの高い演奏技術と、それぞれの個性が融合し、WANDSサウンドの独特の魅力を作り出しています。

まとめ

『Little Bit…』は、WANDSの転換期を象徴する作品であり、彼らの音楽性の幅広さと、高い音楽性を示す、非常に重要な一枚です。ミリオンセラーを記録したことも、その人気の高さを物語っています。このアルバムを聴けば、WANDSの魅力を余すことなく堪能できるでしょう。

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