M・カシー商会

M・カシー商会: 日本映画史における小さな巨人

M・カシー商会（エム・カシーしょうかい）は、1915年に東京で設立された日本の映画会社です。この企業は映画製作の新たな一歩として、映画業界に大きな影響を与えました。

設立背景

M・カシー商会は、創業者の梅屋庄吉がM・パテー商会と日活の合併を経て、再び独立して設立されたものです。日活が設立されたのは、1912年9月、M・パテー商会を含む4社の合併によるものでした。しかし、旧来の企業体における内紛や分裂が続き、梅屋は自らの夢を追い求めて新たな会社を立ち上げるに至りました。

会社名の由来

社名の「M」は梅屋の名前の頭文字、「カシー」は彼の妻・トクの実家の姓である香椎から取られています。このように、会社名には個人的な背景が色濃く反映されています。

主な作品と俳優

設立した年、M・カシー商会は映画『我が子の家』を公開し、これが同社の第一作となります。続いて製作した『先代萩』は中村歌扇を主演に迎え、当時若干14歳であった三木滋人（後の名カメラマン）を起用するなど、注目を集めました。しかし、同社が公開した劇映画は1916年の『新吉原廓達引』をもって終了し、以降は劇映画の発表がありませんでした。

競作による注目

1916年の11月に裕仁親王の立太子礼の際、M・カシー商会は他の6社とともに競作として『立太子式当日市中雑観』を製作しました。梅屋はこのプロジェクトの指揮を執り、同作は翌日に公開されることとなりました。特に、この競作は会社の知名度を一層高める結果となりました。

消滅と再生

1916年以降、M・カシー商会の活動は次第に停滞し、撮影所も再び閉鎖されました。しかし、1926年に梅屋は日活から独立した俳優の片岡松燕を支援し、旧M・カシー商会の撮影所を再度利用して新たな制作を行うこととなります。

M・カシー商会の影響

M・カシー商会はその短い活動期間中に、多くの才能を輩出し、日本映画の発展に寄与しました。特に、後に名を馳せる高勢実乗や三木滋人といった才能に映画デビューの機会を提供した点が評価されています。このように、M・カシー商会は映画業界における重要な一歩を担った組織であり、その影響は今もなお日本の映画史に生き続けています。

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