M151

M151: 軍用車両の歴史と特性

M151（Military Utility Tactical Truck、略称MUTT、通称マット）は、アメリカ陸軍および海兵隊向けにフォード・モーター社が開発した1/4トンの軍用トラックです。この車両は、第二次世界大戦で活躍したMB/GPWや、戦後のM38/M38A1といったジープの後継として位置付けられています。特に「ケネディジープ」という愛称でも知られ、多くの戦場で使用されました。

概要

M151は、ドライバーを含む最大4人の乗員を搭載可能で、ベトナム戦争において実戦に投入されました。アメリカ陸軍では1990年代初頭まで使用されましたが、その後はハンヴィーに取って代わられました。しかし、海兵隊ではハンヴィーが大型であるため、輸送機での展開が難しいことから、今でも現役で使用されています。

車体は鉄骨のはしご型フレームを使用した従来のジープとは異なり、より軽量で機動性の高いモノコック構造を導入しています。この構造により大幅に低床化され、構造も簡易化されたものの、実戦ではスタックした際に車体が変形する問題もありました。また、フロントグリルはジープのデザインに関する著作権を避けるために独自の形状となっています。

M151のサスペンションは、従来の四輪リーフリジッドから、コイルスプリングを使用した前方のダブルウィッシュボーン式および後方のスイングアクスル式が採用されました。この変更により、移動速度の向上と兵員の疲労軽減が期待されました。しかし、軽量積載時には新たな問題も発生し、横転のリスクが指摘されました。そのため、後にサスペンションが設計変更されました。

エンジンとトランスミッション

エンジンはフォード製の水冷直列4気筒OHVで、排気量2,319ccから71馬力を発生します。トランスミッションは前進4速、後退1速のマニュアルで、駆動方式はパートタイム4WDを採用しています。

バリエーション

M151には多くのバリエーションがあります。初期型のM151は、フロントフェンダーのデザインやリアサスペンション特性による問題を持っていました。改良型のM151A1や、さまざまな用途に特化したM151A2やM151A2 TOWなどが続きました。特にM151A2は、サスペンション形式が変更され、より安定した走行が可能になりました。

導入国

アメリカ国内での使用に加え、カナダ、デンマーク、イスラエル、イギリスなどの多くの国においても導入され、特にイスラエル軍では「Shmira」という愛称で親しまれました。

倉庫放出と現在の状況

軍用車両は、用途が廃止された後、民間への放出が行われることがありますが、M151に関しては操縦安定性に問題があったため、全ての払い下げが禁止されました。解体されたものや、違法に流通する個体も存在し、今ではミリタリー趣味の分野で人気を集めています。

映画とゲームに見るM151

この車両は多くの映画やゲームでも登場しています。映画『GUN CRAZY 復讐の荒野』や『コマンドー』、さらには『メタルギアソリッド』など、さまざまな作品で取り上げられ、その存在感を示しています。また、『ガールズ＆パンツァー』や『こちら葛飾区亀有公園前派出所』など、日本のアニメや漫画にも登場するなど、幅広い愛好者に支持されています。

M151は、その多様性と機能性から、今でも多くの人々に親しまれる軍用車両の一つです。

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