MARBLE (カシオペアのアルバム)

カシオペア『MARBLE』

日本のフュージョンシーンで長年にわたり活躍を続けるバンド、カシオペアが2007年11月7日にリリースした通算38枚目のオリジナルアルバムが『MARBLE』（マーブル）です。この作品は、バンドが結成25周年を迎えたことを記念して制作されたアニバーサリーアルバムという位置づけになります。

25周年の節目を飾る組曲「ユニバース」

『MARBLE』における最大の注目点は、バンドの結成25周年にちなんで特別に書き下ろされた、25分を超える壮大な組曲「ユニバース」が収録されていることです。この組曲は、カシオペアならではの緻密なアレンジと演奏技術が結集された大作であり、長年の活動で培われた音楽性と、未来への広がりを感じさせるテーマが込められています。まさに、四半世紀にわたるバンドの歩みを音楽で表現した、聴きごたえのある楽曲と言えるでしょう。

参加ミュージシャンたち

この時期のカシオペアのレギュラーメンバーは、ギターの野呂一生、キーボードの向谷実、そしてベースの鳴瀬喜博という布陣でした。鳴瀬はベーシストとしてだけでなく、アルバム収録曲の一部（M3、M5、M7）ではパーカッションやプログラミングも担当し、サウンドに多様性をもたらしています。
ドラムは、かつてカシオペアの正式メンバーであり、脱退後も様々な形でバンドとの関わりを続けてきた神保彰がサポートミュージシャンとして参加しています。神保の切れ味鋭く、かつダイナミックなドラミングは、カシオペアのサウンドに欠かせない要素であり、本作でもその存在感を示しています。彼もまた、楽曲（M4）でプログラミングを手掛けています。

同時発売された「ギターマイナスワン」盤

『MARBLE』の発売と同時に、非常にユニークな試みとして、『CASIOPEA Plays Guitar MINUS ONE MARBLE』（GNCT-1004）と題された別バージョンがリリースされました。これは、アルバムに収録されている楽曲からギターパートの音源のみを抜き取った、いわゆる「ギターマイナスワン」のCDです。カシオペアの複雑かつテクニカルな楽曲をコピーして演奏したいと考えるギタリストにとって、バンドの演奏に合わせて練習できる貴重なツールとして企画されたものです。このような試みは、ファンコミュニティとの繋がりを重視するカシオペアらしいアプローチと言えるでしょう。

作品を支えた制作スタッフ

本作のサウンドプロデュースは、メンバー自身であるカシオペアが行いました。レコーディングとミキシングは倉石裕治が担当し、クリアで奥行きのあるサウンドを実現しています。マスタリングは宮本茂男（FLAIR）が手掛け、音源全体の最終的な質感とバランスを整えました。アシスタントエンジニアとしてShinichi Naitohと大川誠がエンジニアリングチームを支えています。その他、Label ManagerのHiroharu Sato、A&RのGo KojimaとAyako Maruyama、マニピュレーターの堀内靖、ドラムテクニシャンの枝川光孝、アーティストマネージメントの井上貴志とHiroshi Mitsuhashiなど、多岐にわたるスタッフが制作に関与しています。アートワーク面では、Ken Narikawaがアートディレクションとデザインを担当し、Takashi Omotoがアートコーディネーションを、猪瀬紀子と磯田守人が写真撮影を担当しています。

『MARBLE』は、カシオペアの結成25周年という重要な節目を記念する作品として、バンドの熟練された演奏力と創造性が凝縮された一枚です。特に25分超の組曲「ユニバース」は、彼らのフュージョンミュージックの可能性を示す壮大な楽曲であり、バンドの代表曲の一つと言えるでしょう。同時にリリースされたギターマイナスワン盤も、ファンへのサービスとしてだけでなく、音楽文化への貢献という側面からも特筆すべき企画です。本作は、長年のファンはもちろん、カシオペアの音楽に触れる新たなリスナーにとっても、彼らの真髄を味わえるアルバムとなっています。

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