MN103機雷

MN103 (MANTA) 機雷の概要

MN103、通称MANTAは、イタリアのS.E.I.社が開発した感応式機雷であり、特に水陸両用作戦において多様な用途で使用されます。この機雷は、敷設形態として沈底式を採用し、主に音響や磁気感応方式によって作動します。

機雷の設計は、台形の外形を持ち、この形状が機雷探知機の音波を逸らすというステルス効果を発揮します。水上艦艇や航空機、ヘリコプターによって敷設され、多国籍軍の上陸作戦などに備えて用いられています。

使用対象

MANTAは水陸両用作戦部隊や特殊部隊に配備される舟艇や水陸両用車両、中小船舶や小型潜水艇を主な標的としています。この機雷はその高性能により、さまざまな軍事作戦において重要な役割を果たします。

機能と特性

最近の機雷と同様に、MANTAは感応装置を搭載しており、その方式には磁気感応型と音響感応型があります。これらはそれぞれ異なる感度で調整することができ、特定の環境に応じて最適な動作が行えるようになっています。また、機雷の自滅期間や航過係数装置も設定可能で、柔軟な運用が実現されています。

さらに、MANTAには訓練型やダミー型といったバリエーションもあり、様々な状況に応じて使用方法が工夫されています。

要目

• - 重量: 220/240キログラム（地上）、100キログラム（水中）
• - 高さ: 470ミリメートル
• - 直径: 最大980ミリメートル
• - 感応型式: 磁気感応型、音響感応型
• - 敷設深度: 2.5～100メートル
• - 炸薬量: 140/170キログラム
• - 耐用温度: -2.5℃～35°C（作戦時）、-34°C～55°C（保管時）
• - 寿命: 17ヶ月（敷設後）、30年（保管時）

運用歴

MANTAは湾岸戦争においても実際に使用され、アメリカ海軍のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦「プリンストン」に対して深刻な損傷を与えるなど、その威力を示しました。このような活動の背景には、イラク軍がクウェート沿岸に多国籍軍の上陸に備えてこの機雷を多数敷設したことがあります。

海上自衛隊への影響

この機雷は広く輸出されており、特に湾岸戦争の際には海上自衛隊もその処分を行うためにペルシャ湾掃海派遣部隊を派遣しました。しかし、当時の最新型であるはつしま型やうわじま型であっても、MANTAなどの最新型機雷の探知・処分は非常に困難であることが明らかとなりました。この実戦経験を基に、海外の機雷掃討装備を導入したすがしま型掃海艇が建造されました。

現在、海上自衛隊はMANTAの訓練型を用いて機雷処分の訓練を行っており、その操作技術の向上を図っています。これによって、機雷に対する対応力が強化され、将来的な任務への備えが整っています。

参考資料

• - S.E.I社のホームページ
• - すがしま型掃海艇の建造

もう一度検索