MS 明朝

MS明朝：Windowsを代表する明朝体フォントのすべて

MS明朝は、Microsoft Windowsの日本語版に標準で搭載されている明朝体フォントです。長年に渡り、多くのユーザーに親しまれてきた、非常に馴染み深いフォントと言えるでしょう。その歴史と特徴を詳しく見ていきましょう。

MS明朝の起源と開発

MS明朝は、写真植字向けにリョービイマジクスが制作した明朝体字母をベースに、リコーによって開発されました。現在、販売権はマイクロソフトが保有していますが、リコーも同等のフォントを販売しています。このことは、MS明朝のルーツが写真植字技術に深く関わっていることを示唆しています。

MS明朝の種類

MS明朝ファミリーには、大きく分けて2つの種類があります。

MS明朝 (MS Mincho): 等幅フォントです。Windows 3.1以降に搭載され、リコーのHG明朝Lに相当します。
MS P明朝 (MS PMincho): MS明朝の字間を調整したプロポーショナルフォントです。Windows 95以降に搭載され、リコーのHGP明朝Lに相当します。

どちらもTrueTypeアウトラインのOpenTypeフォントであり、様々なサイズ（ポイント数）のビットマップフォントも含まれています。これらのビットマップフォントは、特に小さなサイズでの表示品質を向上させる役割を果たしています。

バージョンごとの違いと進化

MS明朝は、Windowsのバージョンアップに伴い、幾度もバージョンアップを重ねてきました。それぞれのバージョンでは、収録文字数や字形、Unicode対応などが改善されています。主なバージョンと特徴を以下にまとめます。

バージョン1.0 (Windows 3.1): JIS X 0201、JIS X 0208、NEC特殊文字などを収録。
バージョン2.00 (Windows 95): MS P明朝を追加。JIS90の字体をベースとしますが、一部の字形はJIS78の旧字体や独自の字形を採用しています。また、Microsoftコードページ932への対応のため、Unicode符号と異なる部分があります。
バージョン2.31 (Windows 98, Me, 2000, XP): JIS X 0212の文字を追加。ダイアクリティカルマーク付きアルファベットや記号なども追加され、Unicode対応も強化されました。
バージョン2.50 (Windows Vista互換): JIS X 0213:2004の文字を追加しましたが、字体変更された文字についてはJIS90の字形を維持。一部字形の修正も行われています。
バージョン5.00 (Windows Vista, Windows XP SP2以降): JIS X 0213:2004の字体変更に対応。JIS X 0208とJIS X 0213の字形を切り替え可能に。
バージョン5.01 (Windows 7): 4文字の修正が行われています。
バージョン5.10 (Windows 8): JIS X 0208字体の切り替えが容易になり、異体字も追加。
バージョン5.11 (Windows 10): 収録文字数の増加と細かな修正が行われています。
* バージョン5.30 (Windows 10 令和対応更新プログラム): 「令和」の合字を追加。

各バージョンで、収録文字数、Unicode対応、字形の微調整などが行われており、常に進化を続けてきました。特に、Unicode対応の強化は、国際的な文字の取り扱いを向上させる上で重要な役割を果たしています。

その他

MS明朝は、Windows以外の環境でも有償で利用可能です。また、MS明朝の書体名は、日本語名と英語名があり、状況に応じて使い分ける必要があります。特にCSSでの指定時には注意が必要です。

関連フォント

MS明朝と関連性の高いフォントとしては、MS ゴシック、游書体、メイリオなどがあります。これらのフォントは、MS明朝と同様に、Windowsで広く利用されているフォントです。

まとめ

MS明朝は、Windowsと共に歩んできた歴史を持ち、多くのユーザーに親しまれてきた、信頼性の高いフォントです。その進化の過程を理解することで、MS明朝をより深く理解し、より効果的に活用できるでしょう。

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