游書体
游書体は、字游工房が販売するプロフェッショナル向けの書体シリーズの総称です。これらの書体は、小売販売だけでなく、オペレーティングシステムに標準搭載されているものもあります。2020年11月からは、親会社であるモリサワの年間定額制フォントサービス「MORISAWA PASSPORT」を通じて、全46書体が提供されています。
游明朝体は、字游工房が2002年に初めて発売した独自の書体です。「時代小説が組めるような明朝体」をテーマに、鈴木勉がデザインを開始し、鳥海修をはじめとする字游工房の社員が完成させました。発売当初は1年限定のライセンスで10万円でしたが、後に無期限ライセンスで3万円に変更されました。
フォーマットはPostScript形式のOpenTypeで、収録字数はPr6N版（Adobe-Japan1-7）で2万3060字です。ウェイトは、L（ライト）、R（レギュラー）、M（ミディアム）、D（デミボールド）（Pr6N）、B（ボールド）、E（エクストラボールド）（StdN）があります。
Windows 8.1以降のWindowsおよびOS X Mavericks以降のmacOSに標準搭載されていますが、リテール版とは仕様が異なる点があります。macOS Sierra以降のmacOS Venturaでは、Font Bookからの追加ダウンロードで導入できます。
Windows:
游明朝/Yu Mincho: Light / Regular / Demibold
アウトラインがTrueType形式となり、ダイアクリティカルマーク付きのラテン文字の高さが調整されています。また、改行幅が縮められ、U+005Cの字形が通常は「\」であるところが「¥」に変更されています。
Windows 10版は、リテール版の収録文字に加えて、Microsoftの互換文字が追加されています。
Windows 7・Windows 8でも、Microsoft Office 2010/2013がインストールされていれば、Microsoftの公式サイトから追加インストールが可能で、Windows 10と同様のウェイトが利用できます。
Mac:
游明朝体/YuMincho: ミディアム / デミボールド / エクストラボールド
エクストラボールドはmacOS Sierraから収録されています。
OS X Yosemiteまでは、フォント名を除けばフォント製品版（Pr6N）と内容は同一です（エクストラボールドはStdN準拠で収録文字数は約10,000字）。
OS X El Capitanからは、改行幅がヒラギノに合わせられ、後述の游明朝体+36ポかなをまとめたOpenType Collectionになっています。
游明朝体と組み合わせて使用する仮名フォントとして、游明朝体36ポかなや游明朝体五号かなも販売されています。ウェイトは游明朝体に準じます（エクストラボールドは游明朝体36ポかなのみ）。OS X El Capitan以降では、游明朝体+36ポかなが追加されています。
Mac - 游明朝体+36ポかな/YuMincho +36p Kana: ミディアム / デミボールド / エクストラボールド
エクストラボールドはmacOS Sierraから収録。
フォント製品版は仮名フォントですが、OS X搭載版はあらかじめ游明朝体の各ウェイトの漢字部分が収録されており、名前どおり単体で游明朝体の漢字と36ポかなの仮名を一体のフォントとして使用できます。収録文字数は游明朝体の各ウェイトと同一です。
2017年には、Adobe Typekit（現在のAdobe Fonts）を通じて、游明朝体Pr6／Pr6N R・游明朝体五号R・游明朝体36ポかなRの4書体が利用可能になりました。しかし、2021年5月には、游明朝体Pr6N R以外の3書体のAdobe Fontsでの提供が9月に停止されることが発表されました。
游築見出し明朝体は、東京築地活版製造所の金属活字・36ポイント明朝体を基にデザインされた見出し書体で、2003年に発売されました。組み合わせて使う仮名書体として游築初号かなも販売されています。ウェイト展開はありません。いずれも岡澤慶秀による覆刻です。
游ゴシック体は2008年に発売されました。游明朝体と一緒に使うことを想定してデザインされており、鳥海修をはじめとする字游工房の社員によってデザインされました。英数字はFranklin Gothicを手本にデザインされています。
フォーマットはPostScript形式のOpenTypeで、収録字数はPr6N（Adobe-Japan1-7）版で2万3060字となっています。ウェイトは、L（ライト）、R（レギュラー）、M（ミディアム）、D（デミボールド）、B（ボールド）（Pr6N）、E（エクストラボールド）、H（ヘビー）（StdN）があります。
Windows 8.1以降のWindows、Windows Phone 7以降のWindows Phone、OS X Mavericks以降のmacOSに標準搭載されていますが、リテール版と仕様が異なる点があります。macOS SierraはFont Bookからの追加ダウンロードで導入します。
游ゴシック体と組み合わせて使う游ゴシック体初号かなも販売されています。ウェイトは游ゴシック体に準じます。
Windows:
游ゴシック/Yu Gothic: Light / Regular / Medium / Bold
ミディアムはWindows 10以降および、Microsoftの公式サイトからダウンロードできるフォントパックに収録されています。
リテール版との相違点は、游明朝体と同様の点に加え、Windows 10版はUI追加文字が追加されている点です。
Regularには一部不具合があり、「猶」が旧字体で表示されます（異体字セレクタを使用しない、もしくはU+E0100を使用した場合に使われるべき箇所に、U+E0102を使用したものと同一のグリフが誤って入っています）。
Yu Gothic UI: Light / Semilight / Regular / Semibold / Bold
システムフォントとして搭載されています。バンドル提供や追加フォントパックによる提供のみで、単体では発売されていません。
游ゴシックとの相違点は、数字やラテン文字がSegoe UIになっている点、仮名がMS UI GothicやMeiryo UIに近い幅の独自の字体に変更されている点です。
収録文字数やアウトラインの形式は、Windows版の游ゴシックに準じます。
游ゴシックでいう「Regular」「Medium」は、このフォントでは「Semilight」「Regular」となっています（Regularのウェイトが游ゴシックとYu Gothic UIで異なる点に注意が必要です）。
SemiboldとBoldの違いは、従属欧文（Segoe UI）のウェイトが「Semibold」「Bold」となっている点です。
Semilightについては、「猶」について游ゴシックと同様の不具合があります。
Windows Phone:
Yu Gothic/游ゴシック体: レギュラー / ボールド
バンドルのほか、Windows Phone SDKのインストールでも導入できます。
バージョン1.01と1.02以降で仕様が異なります。バージョン1.01は字形がリテール版（StdN）と同様ですが、バージョン1.02以降は従属欧文にSegoe UIが使われ、U+005Cの字形が「\」ではなく「¥」に変更されています。
両者とも収録文字数は約9,800字で、アウトラインがTrueTypeで構成されています。
レギュラーにおける「猶」の不具合は起こっていません。
Mac:
游ゴシック体/YuGothic: ミディアム / ボールド
リテール版との相違点は、游明朝体と同様です。
macOS付属版にはレギュラーがないため、ウェブブラウザでの表示の際にはミディアムが基本ウェイトになります。このため、Windowsより太く見えることになります。
2021年5月、モリサワは9月10日以降、Adobe Fontsで「游ゴシック体R」を提供すると発表しました。
游教科書体は、ボールペンなどの硬筆で書かれた筆跡を取り入れた教科書体で、字游工房と東京書籍との共同開発による書体です。2004年に游教科書体Mが発売され、2013年に游教科書体N M/Bが、2019年に游教科書体New M/Bが発売されました。フォーマットはPostScript形式のOpenTypeで、游教科書体Nファミリーの収録字数は約7100字で、独自文字セットとなっています。游教科書体Newファミリーの文字セットはAdobe-Japan1-3に教科書で必要とされる字種を加えたものです。游教科書体N、游教科書体New両ファミリーともウェイトは、M（ミディアム） / B（ボールド）の2種類です。
本文が横組みの教科書向けの游教科書体N横用も同様に販売されています。游教科書体との違いは、仮名とルビ用文字のデザインの違いです。
どちらもmacOS Sierra以降のmacOSで利用できますが、Font Bookから追加ダウンロードで導入します。
Mac:
游教科書体/YuKyokasho、游教科書体 横用/YuKyokasho Yoko: ミディアム / ボールド
リテール版ではそれぞれ単体のOTFとなっていますが、macOS版では横用も合わせたOpenType Collectionとなっています。
この他に2019年に発売された小学校外国語（英語）教材向けの欧文書体JKHandwritingファミリーがあります。
游勘亭流は、芝居文字とも呼ばれる江戸文字の一種をベースに、読みやすさを重視してアレンジした書体です。写真植字大手写研で原字制作の責任者を務めた橋本和夫が、同社を退職しフリーランスだった1996年秋に提案し、1998年1月までかけて描き上げました。2004年に発売され、フォーマットはPostScript形式のOpenTypeで、収録字数は3,865字、「游」以外の第二水準漢字は収録されていません。ウェイトは1種類です。
1997年：游明朝体（当時はJK明朝体）制作に着手
1998年：鈴木勉が死去
2002年：游明朝体Rが発売
2004年：游教科書体M、游勘亭流が発売
2005年：游明朝体Stdシリーズが発売
2008年：游ゴシック体が発売
2012年：游明朝体Pr6シリーズが発売
2013年：游教科書体Mの後継として游教科書体Nが発売
2018年：游明朝体Pr6N、游ゴシック体Pr6N両シリーズが発売（Pr6書体が同梱されなくなる）
2019年：游明朝体、游ゴシック体ファミリーに令和合字追加のアップデートを実施
2019年：游教科書体Newが発売
* 2020年：MORISAWA PASSPORT、TypeSquareへ游書体ライブラリーの提供を開始
游明朝体
游明朝体は、字游工房が2002年に初めて発売した独自の書体です。「時代小説が組めるような明朝体」をテーマに、鈴木勉がデザインを開始し、鳥海修をはじめとする字游工房の社員が完成させました。発売当初は1年限定のライセンスで10万円でしたが、後に無期限ライセンスで3万円に変更されました。
フォーマットはPostScript形式のOpenTypeで、収録字数はPr6N版（Adobe-Japan1-7）で2万3060字です。ウェイトは、L（ライト）、R（レギュラー）、M（ミディアム）、D（デミボールド）（Pr6N）、B（ボールド）、E（エクストラボールド）（StdN）があります。
Windows 8.1以降のWindowsおよびOS X Mavericks以降のmacOSに標準搭載されていますが、リテール版とは仕様が異なる点があります。macOS Sierra以降のmacOS Venturaでは、Font Bookからの追加ダウンロードで導入できます。
Windows:
游明朝/Yu Mincho: Light / Regular / Demibold
アウトラインがTrueType形式となり、ダイアクリティカルマーク付きのラテン文字の高さが調整されています。また、改行幅が縮められ、U+005Cの字形が通常は「\」であるところが「¥」に変更されています。
Windows 10版は、リテール版の収録文字に加えて、Microsoftの互換文字が追加されています。
Windows 7・Windows 8でも、Microsoft Office 2010/2013がインストールされていれば、Microsoftの公式サイトから追加インストールが可能で、Windows 10と同様のウェイトが利用できます。
Mac:
游明朝体/YuMincho: ミディアム / デミボールド / エクストラボールド
エクストラボールドはmacOS Sierraから収録されています。
OS X Yosemiteまでは、フォント名を除けばフォント製品版（Pr6N）と内容は同一です（エクストラボールドはStdN準拠で収録文字数は約10,000字）。
OS X El Capitanからは、改行幅がヒラギノに合わせられ、後述の游明朝体+36ポかなをまとめたOpenType Collectionになっています。
游明朝体と組み合わせて使用する仮名フォントとして、游明朝体36ポかなや游明朝体五号かなも販売されています。ウェイトは游明朝体に準じます（エクストラボールドは游明朝体36ポかなのみ）。OS X El Capitan以降では、游明朝体+36ポかなが追加されています。
Mac - 游明朝体+36ポかな/YuMincho +36p Kana: ミディアム / デミボールド / エクストラボールド
エクストラボールドはmacOS Sierraから収録。
フォント製品版は仮名フォントですが、OS X搭載版はあらかじめ游明朝体の各ウェイトの漢字部分が収録されており、名前どおり単体で游明朝体の漢字と36ポかなの仮名を一体のフォントとして使用できます。収録文字数は游明朝体の各ウェイトと同一です。
2017年には、Adobe Typekit（現在のAdobe Fonts）を通じて、游明朝体Pr6／Pr6N R・游明朝体五号R・游明朝体36ポかなRの4書体が利用可能になりました。しかし、2021年5月には、游明朝体Pr6N R以外の3書体のAdobe Fontsでの提供が9月に停止されることが発表されました。
游築見出し明朝体・游築初号かな
游築見出し明朝体は、東京築地活版製造所の金属活字・36ポイント明朝体を基にデザインされた見出し書体で、2003年に発売されました。組み合わせて使う仮名書体として游築初号かなも販売されています。ウェイト展開はありません。いずれも岡澤慶秀による覆刻です。
游ゴシック体
游ゴシック体は2008年に発売されました。游明朝体と一緒に使うことを想定してデザインされており、鳥海修をはじめとする字游工房の社員によってデザインされました。英数字はFranklin Gothicを手本にデザインされています。
フォーマットはPostScript形式のOpenTypeで、収録字数はPr6N（Adobe-Japan1-7）版で2万3060字となっています。ウェイトは、L（ライト）、R（レギュラー）、M（ミディアム）、D（デミボールド）、B（ボールド）（Pr6N）、E（エクストラボールド）、H（ヘビー）（StdN）があります。
Windows 8.1以降のWindows、Windows Phone 7以降のWindows Phone、OS X Mavericks以降のmacOSに標準搭載されていますが、リテール版と仕様が異なる点があります。macOS SierraはFont Bookからの追加ダウンロードで導入します。
游ゴシック体と組み合わせて使う游ゴシック体初号かなも販売されています。ウェイトは游ゴシック体に準じます。
Windows:
游ゴシック/Yu Gothic: Light / Regular / Medium / Bold
ミディアムはWindows 10以降および、Microsoftの公式サイトからダウンロードできるフォントパックに収録されています。
リテール版との相違点は、游明朝体と同様の点に加え、Windows 10版はUI追加文字が追加されている点です。
Regularには一部不具合があり、「猶」が旧字体で表示されます（異体字セレクタを使用しない、もしくはU+E0100を使用した場合に使われるべき箇所に、U+E0102を使用したものと同一のグリフが誤って入っています）。
Yu Gothic UI: Light / Semilight / Regular / Semibold / Bold
システムフォントとして搭載されています。バンドル提供や追加フォントパックによる提供のみで、単体では発売されていません。
游ゴシックとの相違点は、数字やラテン文字がSegoe UIになっている点、仮名がMS UI GothicやMeiryo UIに近い幅の独自の字体に変更されている点です。
収録文字数やアウトラインの形式は、Windows版の游ゴシックに準じます。
游ゴシックでいう「Regular」「Medium」は、このフォントでは「Semilight」「Regular」となっています（Regularのウェイトが游ゴシックとYu Gothic UIで異なる点に注意が必要です）。
SemiboldとBoldの違いは、従属欧文（Segoe UI）のウェイトが「Semibold」「Bold」となっている点です。
Semilightについては、「猶」について游ゴシックと同様の不具合があります。
Windows Phone:
Yu Gothic/游ゴシック体: レギュラー / ボールド
バンドルのほか、Windows Phone SDKのインストールでも導入できます。
バージョン1.01と1.02以降で仕様が異なります。バージョン1.01は字形がリテール版（StdN）と同様ですが、バージョン1.02以降は従属欧文にSegoe UIが使われ、U+005Cの字形が「\」ではなく「¥」に変更されています。
両者とも収録文字数は約9,800字で、アウトラインがTrueTypeで構成されています。
レギュラーにおける「猶」の不具合は起こっていません。
Mac:
游ゴシック体/YuGothic: ミディアム / ボールド
リテール版との相違点は、游明朝体と同様です。
macOS付属版にはレギュラーがないため、ウェブブラウザでの表示の際にはミディアムが基本ウェイトになります。このため、Windowsより太く見えることになります。
2021年5月、モリサワは9月10日以降、Adobe Fontsで「游ゴシック体R」を提供すると発表しました。
游教科書体
游教科書体は、ボールペンなどの硬筆で書かれた筆跡を取り入れた教科書体で、字游工房と東京書籍との共同開発による書体です。2004年に游教科書体Mが発売され、2013年に游教科書体N M/Bが、2019年に游教科書体New M/Bが発売されました。フォーマットはPostScript形式のOpenTypeで、游教科書体Nファミリーの収録字数は約7100字で、独自文字セットとなっています。游教科書体Newファミリーの文字セットはAdobe-Japan1-3に教科書で必要とされる字種を加えたものです。游教科書体N、游教科書体New両ファミリーともウェイトは、M（ミディアム） / B（ボールド）の2種類です。
本文が横組みの教科書向けの游教科書体N横用も同様に販売されています。游教科書体との違いは、仮名とルビ用文字のデザインの違いです。
どちらもmacOS Sierra以降のmacOSで利用できますが、Font Bookから追加ダウンロードで導入します。
Mac:
游教科書体/YuKyokasho、游教科書体 横用/YuKyokasho Yoko: ミディアム / ボールド
リテール版ではそれぞれ単体のOTFとなっていますが、macOS版では横用も合わせたOpenType Collectionとなっています。
この他に2019年に発売された小学校外国語（英語）教材向けの欧文書体JKHandwritingファミリーがあります。
游勘亭流
游勘亭流は、芝居文字とも呼ばれる江戸文字の一種をベースに、読みやすさを重視してアレンジした書体です。写真植字大手写研で原字制作の責任者を務めた橋本和夫が、同社を退職しフリーランスだった1996年秋に提案し、1998年1月までかけて描き上げました。2004年に発売され、フォーマットはPostScript形式のOpenTypeで、収録字数は3,865字、「游」以外の第二水準漢字は収録されていません。ウェイトは1種類です。
歴史
1997年：游明朝体（当時はJK明朝体）制作に着手
1998年：鈴木勉が死去
2002年：游明朝体Rが発売
2004年：游教科書体M、游勘亭流が発売
2005年：游明朝体Stdシリーズが発売
2008年：游ゴシック体が発売
2012年：游明朝体Pr6シリーズが発売
2013年：游教科書体Mの後継として游教科書体Nが発売
2018年：游明朝体Pr6N、游ゴシック体Pr6N両シリーズが発売（Pr6書体が同梱されなくなる）
2019年：游明朝体、游ゴシック体ファミリーに令和合字追加のアップデートを実施
2019年：游教科書体Newが発売
* 2020年：MORISAWA PASSPORT、TypeSquareへ游書体ライブラリーの提供を開始
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