MS-DOS Editor

MS-DOS Editor (edit) は、MS-DOSおよび32ビット版Windowsに付属するCUI（キャラクタユーザインタフェース）ベースのテキストエディタです。MS-DOSの標準エディタであったEDLINの後継として、MS-DOSバージョン5以降に導入されました。

初期のMS-DOS Editorは、MS-DOS 6.22まではQBasicのエディタモードとして動作していました。しかし、DOS 7（Windows 95）でQBasicが外されたことで、MS-DOS Editorは独立したプログラムとなりました。

Windows環境においては、MS-DOS Editorはメモ帳の簡易版として利用されることがありました。編集可能なファイルサイズには制限があり、最大で65,279行、約5MBまでとなっています。MS-DOS版では、コンベンショナルメモリの空きサイズに依存しますが、およそ300KB程度が上限でした。

Windows上では、「ファイル名を指定して実行」ダイアログやコマンドラインインタフェースで `edit` と入力することで起動できます。Editは、Windows XP、Windows Vista、Windows 7、Windows 8の32ビット版にも付属していました。ただし、16ビットのDOSアプリケーションであるため、仮想DOSマシンをサポートしない64ビット版Windowsでは直接実行することはできません。

バージョン

• - Edit バージョン 1.0 は、MS-DOSおよびPC DOS 5.00、OS/2、Windows NT 4.0に付属していました。これらはQBasic 1.0上で動作していました。このバージョンでは、DOSのメモリ制限のため、一度に1つのファイルしか開けず、ウィンドウ分割もクイックヘルプ以外はできませんでした。
• - Edit バージョン 1.1 は、MS-DOS 6.0に付属しました。エディタとしての新機能は特になく、MS-DOS 6.0のヘルプ表示にQBasic 1.1が使用された点が主な変更点です。
• - PC DOS 6にはeditコマンドは付属せず、代わりにEエディターが付属しました。PC DOS 7では、マウスとメニューがサポートされました。
• - Edit バージョン 2.0 は、Windows 95に付属し、Windows 2000以降にも引き継がれました。Qbasicを使用せず、単独のプログラムとして動作するようになりました。

機能

MS-DOS Editorは、テキストユーザインタフェースを採用しており、色の設定をカスタマイズできます。バージョン2.0では、最大9つのファイルを同時に編集できるようになり、マルチドキュメントインタフェースを搭載しました。画面を垂直に分割することも可能です。また、ファイルをバイナリモードで開く機能もあり、その場合は1行あたりの文字数が固定され、16進数の文字で表示されます。

日本語版

QBasicが日本語をサポートしていなかったため、IBM DOS J5.0/VおよびMS-DOS 5.0/Vのeditコマンドは英語モードのみをサポートしていました。マイクロソフト版のMS-DOS 6.2/Vでは、日本語モードに対応したeditコマンドが単体で付属しました。その後、Windows 9x系にはMS-DOS Editorの日本語対応版が付属しましたが、Windows NT系には英語版のみが付属し、日本語処理には対応していません。また、Windows Vista以降では仮想DOSマシン自体が日本語処理をサポートしていません。

[PC-9800シリーズ]]用のMS-DOSでは、日本電気]が独自に「SEDIT」というスクリーンエディタをV3.3D以降で提供していました。これは当然ながら日本語をサポートしていました。NEC版の[[MS-DOS 6.2では、「SEDIT」という名称は同じですが、中身はMIFESのサブセットである「MINIFES」をベースにしたものに変更されています。

MS-DOS Editorは、シンプルな操作性と軽量さから、現在でも一部のユーザーに利用されることがあります。特に、古いシステムや仮想環境でのテキスト編集に役立ちます。

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