MacPaint

MacPaint（マックペイント）

MacPaintは、Apple ComputerのMacintosh向けに開発された初期のペイントソフトウェアです。QuickDrawとHyperCardの作者であるビル・アトキンソンが最初のバージョンを制作し、1984年の初期MacintoshにMacWriteと共に標準添付されました。

開発の背景

MacPaintは、QuickDrawを使用して動作しており、アトキンソンはOS側の機能とアプリケーションを同時に開発していました。わずか128KBのメモリ上でOSとペイントソフトを動作させるという、当時としては非常に困難な偉業を成し遂げました。このソフトウェアの前身はLisaで動作していたLisaSketchで、MacPaint自体もβ版の時点ではMacSketchと呼ばれていました。

Macintosh以前にもAltoやVisiOn、Apple自身のLisaなどGUIシステムが存在していましたが、GUIを用いたソフトウェアはまだ一般的ではありませんでした。そこで、ソフトウェアの見本として、アトキンソンはMacPaintを制作しました。MacPaintは、その後のペイント系ソフトの原型となっただけでなく、MacintoshやWindowsの多くのアプリケーションのお手本となりました。

後にMacPaintの開発と販売はClaris社に移管されましたが、2005年現在、販売は終了しています。2010年7月には、QuickDrawとともにコンピュータ歴史博物館にソースコードが寄贈されました。

エピソード

ドナルド・クヌースはMacPaintを「プログラムの歴史上、最も素晴らしい作品」と評し、ソースコードの閲覧を希望しました。その結果、ソースコードはComputer History Museumに寄贈されることになりました。

アトキンソンが制作したMacPaint 1.0は優れたソフトウェアでしたが、Appleのインターフェースガイドラインを最初に無視したソフトウェアでもありました。背景の独自塗りつぶしや移動できない偽のウィンドウなど、ガイドラインよりもソフトウェアの美しさを優先した設計は、アトキンソンの特徴と言えるでしょう。

シングルタスクOSでの動作中は問題ありませんでしたが、MultiFinderが登場し複数のアプリケーションが同時に動作するようになると、この仕様は問題を引き起こしました。そこで1988年、David Ramseyがアプリケーションの非標準的な部分を標準的な形に変更したMacPaint 2.0を制作しました。このバージョンは、多くのMacユーザーに長く愛用されました。

関連事項

ペイントソフト
ラスタ形式
ビットマップ画像
MacDraw

参考

* Computer History Museum

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