MacWrite

MacWrite（マックライト）は、Appleとクラリスが開発・販売していたワープロソフトです。パーソナルコンピュータ向けとしては、初のWYSIWYG（What You See Is What You Get）を可能にしたワープロソフトとして知られています。

概要

1984年に発売されたMacintosh 128K（初代Macintosh）およびMacintosh 512Kには、MacPaintと共に無料で添付されていました。当時のMacintosh市場では市販アプリケーションが少なく、開発環境も十分ではなかったため、MacWriteは貴重な実用ソフトウェアとして重宝されました。Macintoshの最初のアプリケーションの一つであり、GUI（グラフィカルユーザーインターフェース）の利点を最大限に活かすように設計されています。インターフェースガイドラインに沿って開発されたため、他のMacintosh向けアプリケーションも同様の操作感を提供できるようになり、ユーザーエクスペリエンスの統一に貢献しました。

MacWriteの最大の特徴は、WYSIWYGに対応していた点です。これにより、複数のフォントを扱え、サイズ変更や太字、斜体といった文字飾り、そしてレイアウトを画面上で確認しながら編集でき、画面に表示された状態をそのまま印刷することが可能でした。初期にはApple II向けドットマトリクスプリンタであるImageWriterが使用され、その後、レーザープリンタのLaserWriterもサポートされました。

Macintosh Plus以降は、MacWriteの無料同梱は廃止され、別売りとなりました。1989年には、Appleの子会社であるクラリスに移管され、改訂版のMacWrite IIが登場しました。1989年当時、Macintosh向けワープロソフト市場ではMicrosoft Wordが約60%のシェアを占めていましたが、1990年には約45%に低下し、MacWrite IIは約30%のシェアを獲得しました。しかし、その後バージョンアップの遅れにより、Microsoft Wordとの差は広がる一方でした。

1990年には、ローカライズを担当したシステムソフトから日本語版MacWrite IIが販売されました。日本語FEP（Front End Processor）として、MacVJE 2.5（v1.1まで）やATOK8（v1.5）が同梱されていましたが、1998年2月に出荷停止が発表され、同年9月末でサポートが終了しました。なお、日本語版には縦書き機能は搭載されていませんでした。

1993年には、MacWrite Pro（英語版のみ）がリリースされました。市場シェアは約5%程度でしたが、クラリスはそれ以上の販売拡大を達成することができず、1994年を最後に新たなバージョンは開発されなくなりました。

なお、統合ソフトであるクラリスワークスのワープロモジュールには、MacWrite IIの特徴が受け継がれていました。

このように、MacWriteは初期のMacintosh環境において重要な役割を果たし、WYSIWYGという概念を広く普及させる上で貢献しましたが、最終的にはMicrosoft Wordとの競争に敗れ、その歴史に幕を閉じることとなりました。

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