Macintosh SE

Macintosh SE：コンパクトMacintoshの進化

Macintosh SEは、Appleが1987年3月から1990年10月にかけて製造・販売していたパーソナルコンピュータです。Macintosh Plusから大幅な改良が加えられ、同時に発表されたMacintosh IIと共に、当時のAppleの主力製品として注目を集めました。フロッグデザインによる筐体デザインも特徴的です。

Macintosh Plusからの進化

Macintosh SEは、前身のMacintosh Plusと比較して、以下の点が大きく改善されました。

内蔵ドライブベイ: ハードディスク（20MBまたは40MB）または2台目のフロッピードライブを搭載可能。
拡張スロット: コンパクトMacintoshとして初の拡張スロット（SEは「System Expansion」の略）を搭載。
Apple Desktop Bus (ADB): Apple IIGSで導入されたキーボードおよびマウスインターフェースを採用。
SCSIサポートの向上: データスループットが向上。
冷却ファン: 信頼性と寿命が向上。

これらの改良により、Macintosh SEはより高性能で使いやすいコンピュータへと進化しました。

ハードウェア構成

Macintosh SEは、1台または2台のフロッピードライブ、またはフロッピードライブとハードドライブの組み合わせに対応するように設計されました。サードパーティ製のブラケットを使用することで、2台のフロッピードライブとハードドライブを同時に搭載することも可能でしたが、Appleは公式にはサポートしていませんでした。また、外部フロッピーディスクドライブを接続することもでき、Macintosh PortableやMacintosh IIと同様に、最大3台のフロッピードライブをサポートできました。

プロセッサダイレクトスロットも搭載されており、アクセラレータなどの拡張カードを取り付けることができました。MicroMacアクセラレータを使用することで、50 MHzおよび5 MB以上にアップグレードすることも可能でした。ただし、拡張カードの取り付けは、高電圧にさらされる危険性があるため、Appleは認定ディーラーのみが行うことを推奨していました。

ROMサイズは、初代Macintoshの64KBから256KBに増加し、開発チームはROMに隠されたイースターエッグを仕込んでいます。

キーボードは別売りで、ADBのApple KeyboardやApple Extended Keyboardが用意されました。

Macintosh SE FDHD

1989年8月、Appleは1.4MBの高密度（HD）フロッピーディスクを処理できるSuperDriveを搭載したMacintosh SE FDHDを発表しました。当初はFDHD（Floppy Disk High Density）モデルとして販売されましたが、後にMacintosh SE Superdriveというラベルに変更されました。HDフロッピーは、MacintoshとPCの両方のコンピュータで事実上の標準となりました。

Macintosh SE FDHDは1990年10月に販売終了となり、Macintosh Classicが後継機種となりました。

主な仕様

プロセッサー: MC68000, 8MHz
ROMサイズ: 256kB
RAM: 標準1MB（最大4MB）
ハードドライブ: 標準20MB
ディスプレイ: 9インチ白黒
対応OS: System 3.3–7.5.1
重量：7.7kg

知られざるエピソード

Macintosh SEをモデルにした「Smack-a-Mac」と呼ばれるぬいぐるみが存在していました。これは、Macintoshの使用中にエラーが発生した際に生じたストレスを、本物のMacの代わりにぶつけられるように意図された、アップル公認のグッズでした。

また、Appleはプロモーション用や従業員向けに、透明ケースを持つMacintosh SEを10台ほど制作しました。これらは非常に希少で、コレクターの間で高値で取引されています。

まとめ

Macintosh SEは、コンパクトな筐体に高度な機能を搭載した、当時のAppleを代表するパーソナルコンピュータでした。その後のMacintoshの進化に大きな影響を与えた一台と言えるでしょう。

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