Masu-me

masu-me

歌手とプロレスラーという、当時としては非常にユニークな二刀流キャリアを歩んだ日本のパフォーマー、masu-me（本名：荒川 真澄）について解説します。

人物とキャリアの始まり

1988年7月9日に栃木県宇都宮市で生まれた荒川 真澄、リングネームであるmasu-meは、幼い頃から歌手になることを強く夢見ていました。音楽の世界での成功を志す一方で、学生時代には柔道にも打ち込み、身体能力を高める経験も積んでいます。この歌手への憧れと柔道経験という異色のバックグラウンドが、彼女のその後のキャリア形成に大きく影響を与えることになります。

キャリアの転機となったのは2010年です。女子プロレス団体であるJWP女子プロレスとタイムミュージックが共同で、歌唱力とプロレス適性を兼ね備えた新たな人材を発掘するためのオーディションを実施しました。幼い頃からの夢である歌手、そして身体能力を活かせるプロレスという二つの道が交差するこのオーディションに、masu-meは挑戦しました。

異例の同時デビューとその活動

厳しいオーディションを通過したmasu-meは、2010年12月23日という記念すべき日に、歌手とプロレスラーという二つの顔を持って同時にデビューするという、異例のスタートを切りました。この日、歌手として初のマキシシングル「今でも大好きc/wみんな聞いて？」が発売され、音楽活動が本格的に始まりました。

プロレスラーとしては、同日に東京・後楽園ホールで開催されたJWPの大会において、KAZUKI選手を相手にリングデビューを果たしました。彼女がデビュー戦で着用したコスチュームは、かつてJWPのトップ選手として活躍し、既に現役を退いていた日向あずみ選手が実際に使用していたものを譲り受けたものであり、団体からの期待の高さを示すものでした。

デビュー後、masu-meは主にJWPのリングで経験を積みました。2011年に入ると、他団体であるアイスリボンのエース、藤本つかさ選手とのタッグを結成し、「JWPタッグリーグ・ザ・ベスト2011」にエントリーしました。このタッグチーム名は「キューティーペア」と名付けられましたが、その名称の由来は、masu-meが昭和のプロレス界で一世を風靡した人気アイドルレスラータッグ「ビューティーペア」を聞き間違えたことによるという、何とも彼女らしいユニークなエピソードがあります。異団体を代表する選手同士のタッグとして注目を集め、2011年2月9日には、キューティーペアとしてアイスリボンへの初参戦も実現しました。この試合では、JWPの先輩である米山香織選手と、キャリア同期である飯田美花選手のタッグと対戦し、パートナーの藤本つかさ選手が飯田美花選手からヒザ十字固めで勝利を収めています。

また、masu-meには中学時代の後輩に、後に自身もプロレスラーとして活動することになるミクロ選手がいました。

キャリアの中断と引退

プロレスラーとして着実にキャリアを重ねているかに見えましたが、2012年には同じJWPの後輩である勝愛実選手とタッグを組み、再びタッグリーグ・ザ・ベストへのエントリーが決定した直後に、体調不良に見舞われてしまいます。この体調不良により、タッグリーグの初戦を戦うことも叶わず、長期の欠場を余儀なくされました。

体調が回復せず、プロレス活動の継続が困難となったmasu-meは、2012年12月16日にJWPの道場で行われたマッチにおいて、ファンや関係者に対してプロレスからの引退を正式に報告しました。2010年12月のデビューから約2年間という短い期間ではありましたが、歌手とプロレスラーという二つの道を同時に歩んだ、彼女らしい個性あふれる現役生活に幕を下ろすこととなりました。

得意技と所属

プロレスラーとしてのmasu-meが得意とした技は、意表を突いて相手を丸め込みフォールを奪う「スクールボーイ」でした。

彼女はBB Companyに所属していました。

短いながらも、歌手とプロレスラーという異色のキャリアを駆け抜けたmasu-meは、その存在感とキャラクターで、多くのファンの記憶に残るパフォーマーでした。

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