勝愛実

日本の女子プロレス界で活動する実力派レスラー、勝 愛実（かつ まなみ）は、1994年10月23日生まれ。学生時代からプロレスに触れ、特にJWPの大先輩である日向あずみに憧れを抱いていました。彼女がプロレスラーへの道を本格的に志すきっかけとなったのは、日向の引退直前に行われた雑誌企画での対談でした。この対談で日向からJWPのスポーツ教室を勧められたことが、勝のキャリアの第一歩へと繋がります。

プロレスラーを目指すにあたり、勝は両親から高校卒業を条件として提示されていました。そのため、JWPへの入団後も高校に通いながら練習と学業を両立させる日々を送りました。学校行事とプロレスの興行が重なった際には、学業を優先して欠場することもあり、プロレスラーとしての活動と学生生活のバランスを取りながらキャリアをスタートさせます。

2011年1月にはJWPの新人オーディションに合格し、3月にはプロテストにも合格。そして同年4月3日、後楽園ホール大会でセンダイガールズプロレスリングのDASH・チサコを相手に待望のデビュー戦を行いました。しかし、デビュー戦は惜しくも敗北を喫します。プロキャリアにおける初勝利は、デビューから間もない4月17日のJ-1グランプリトーナメント1回戦で、masu-meから挙げました。この年は、蒼星杯で優勝を飾るなど、新人ながらその才能の片鱗を見せつけ、同年末にはJWPジュニア二冠王座への挑戦を表明するまでに成長します。

翌2012年1月には下野佐和子（OSAKA女子プロレス）が保持するJWPジュニア二冠王座に挑戦するも、この時は王座獲得はなりませんでした。しかし、同年12月24日の後楽園ホール大会で、ラビット美兎からジュニア二冠王座を奪取することに成功。引退した元ジュニア王者・輝優優から継承されたレッグラリアットからのブロックバスターという得意の連携で、キャリア初のシングルタイトルを獲得しました。このジュニア王者時代を通じて、彼女は若手トップの一人として注目を集めるようになります。

順調にキャリアを積んでいた勝でしたが、2014年4月に突然の引退を発表。同年7月13日には、板橋グリーンホール大会で同期のラビット美兎を相手に引退試合を行い、一度リングを降ります。この時の引退は、ご家族、特に母親の看病と介護に専念するためでした。プロレス活動と介護の両立が困難になったことが、苦渋の決断に至った背景にありました。

リングを離れて約2年、勝は2016年3月にJWPへの再入団を発表し、プロレス界への復帰を宣言します。復帰を決意したきっかけは、前年に亡くなった母親の遺品整理でした。その中に自身が出場した試合のグッズやパンフレット、さらには観戦日記が見つかったことで、一度は封印したプロレスへの強い思いが再び高まったといいます。同年4月3日、JWP後楽園ホール大会で、再び同期であるラビット美兎とのシングルマッチで復帰戦を行いましたが、こちらも白星で飾ることはできませんでした。

JWPが団体名をPURE-J女子プロレスと改称してからも所属選手として活動を続けましたが、2020年10月にはPURE-Jからの退団を発表し、フリーランスとして活動する道を選びます。フリー転向後も精力的に様々な団体へ参戦し、そのキャリアの中でICE×∞王座を獲得するなど、実績を重ねました。そして、2024年8月24日、アイスリボン後楽園ホール大会に姿を見せ、同団体への入団を発表。キャリアを重ね、ベテランの域に差し掛かる中で、新たな所属団体を見つけました。

リング上では、ダイナミックな技を得意としており、中でも「ダイビングエルボードロップ」「イナズマバスター」「オレンジブロッサム」などはフィニッシュとしても用いられる強力なムーブです。ジュニア時代に培ったスピードと、キャリアを重ねて得たパワーや経験を融合させたファイトスタイルで、観客を魅了しています。

リングを離れれば、「アイドルウォッチャー」であることを公言するなど、多彩な一面も持ち合わせています。特に、プロレスとの関わりが深いアイドルグループ「キラポジョ」の熱心なファンであり、ライブに何度も足を運び、ファンクラブ会報でも紹介されたほどです。また、同期で友人でもあるみなみ飛香からは「まなぽょ」というニックネームで呼ばれ、親しまれています。憧れの選手である日向あずみとのエピソードや、学業との両立、一度の引退と復帰など、そのキャリアは常に注目を集めてきました。

JWPでの華々しいデビューからジュニア王者、一度の引退と劇的な復帰、団体の移籍、そしてICE×∞王座獲得と、波乱万丈とも言えるプロレス人生を歩んできた勝 愛実。新たな所属先となったアイスリボンで、どのような輝きを見せるのか、今後の活躍から目が離せません。

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