Mk37 (魚雷)

Mk37魚雷の概要

Mk37魚雷は、第二次世界大戦後にアメリカ海軍によって開発された電動推進型の魚雷です。1960年代にはアメリカ海軍の標準的な潜水艦発射魚雷として広く使用されていました。この魚雷は1990年代まで現役でしたが、その後も他国の海軍において引き続き使用されています。1970年代にはアメリカ海軍の任務から段階的に退役し、余剰となった魚雷は他国へ売却されました。また、このMk37魚雷は海上自衛隊においても使用され、特に第十雄洋丸事件での実績があります。

開発の歴史

Mk37魚雷の開発は1946年にウェスティングハウス・エレクトリックの兵器開発研究所によってスタートしました。この魚雷は、改修型Mk18魚雷で試験された能動追尾システムを基に、受動追尾機能と新たな弾体設計を組み合わせたものです。1955年から1956年には30発の魚雷が製造され、その後、大量生産が本格的に始まりました。

Mk37魚雷は電気推進を採用したことで、魚雷発射管からの滑らかな発射が可能となり、発射時の騒音を大幅に低減しました。最初の行程ではジャイロスコープによる制御が行われ、次に受動ソナーで標的を追尾します。最終行程では、距離640mでドップラー効果を利用した能動ソナー追尾が16kHzで作動するトランスデューサーによって行われます。初期の電装品は真空管を使用していましたが、その後は半導体回路に置き換わることとなります。

改修モデル

Mk37の改修型であるmod 1は、元のmod 0よりも長く重くなりましたが、目標捕捉能力が向上し、敏捷な潜水艦の迎撃にも高い性能を発揮しました。これらの改修型では有線誘導が導入されていました。

Mk37魚雷の性能は、速力20ノット以下、深度300m以上の標的に優れた効果を示しました。しかし、潜水艦が速力を増し、運用深度も深くなったことから、Mk37の設計を基にした新型魚雷が必要とされるようになりました。この新型にはNT37C、D、E、Fがあり、1967年から改修作業が行われました。

これらの改修品は、磁歪式トランスデューサーを圧電効果を利用した装置に換え、深度の増加に伴っても感度を保ちつつ、目標捕捉距離を640mから910mに引き上げました。また、動力源としてマーク46酸化銀電池を採用し、訓練用の魚雷には再使用可能な二次電池が使用されました。

使用上の問題

Mk37魚雷の生産が進められていた1960年代には、バッテリーの基本設計に問題があり、強い振動で不意に通電・過熱する不具合が報告されていました。これが魚雷の生産計画に悪影響を及ぼし、海軍は所定の品質検査に合格していないバッテリーを使用していました。武器品質工学センターではこの問題を指摘しましたが、改善策は講じられませんでした。

最後の活躍

Mk37魚雷は、長い間アメリカ海軍における主力の潜水艦発射魚雷として使用されてきました。しかし1972年以降、Mk48魚雷に徐々に取って代わられるようになりました。Mk37は、潜水艦の速力が20ノット以上、潜行深度が330メートルを越えない限りは優れた対潜水艦兵器と見なされていましたが、20ノットの潜水艦に対して同等の速力を持つ魚雷では十分に効果を上げることが難しく、新たな武器が求められる結果となりました。

1980年代になると、NT37と呼ばれる改良版が開発され、更なる性能向上を図る試みがなされましたが、アメリカ海軍はMk37の改良を続けるよりも新型魚雷の開発を選んだのです。

他の使用例

Mk67潜水艦発射移動機雷は、Mk37魚雷の弾体設計を基にしています。1983年に就役したこの機雷は、艦艇が接近できない区域で約10マイルを移動する能力があります。指定された海域に到達後は、海底に沈下し、従来の感応機雷として機能します。信管はコンピュータ制御されており、機雷は磁気、音響、感圧センサーを使用して目標に反応します。

諸元

• - 主機関: マーク46酸化銀電池、二速、電動
• - 全長: 340cm（mod.0）、410cm（mod.1）
• - 全重: 650kg（mod.0）、750kg（mod.1）
• - 直径: 48cm
• - 射程: 17ノットで21km、26ノットで9.1km
• - 耐圧深度: 300m
• - 速度: 17ノット、26ノット
• - 誘導装置: 能動/受動ソナー誘導
• - 弾頭: 150kgのHBX-3高性能爆薬を搭載
• - 就役期間: 1957年から1987年

このように、Mk37魚雷はその技術的な革新と長い運用歴によって、海軍の対潜戦略において重要な役割を果たしました。

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