Mk46 (魚雷)

Mk.46 短魚雷：コブラの異名を持つ対潜兵器

Mk.46は、アメリカ合衆国が開発した軽量対潜水艦魚雷です。発射後の独特な蛇行運動から「コブラ」の異名を持ち、航空機からの発射時には「ブラッドハウンド（血の狩人）」とも呼ばれ、旋回捜索を行います。1966年にMk.44短魚雷の後継として開発され、現在はNATO諸国や日本、韓国など、アメリカの友好国で主力短魚雷として広く使用されています。また、中国においても、本魚雷を基にした類似機種が開発・使用されています。

概要

Mk.46は、航空機やヘリコプターからの投下、またはアスロックの弾頭として使用される場合、直径1,000ヤードの右旋回螺旋航走パターンで目標を捜索します。静止中のヘリコプターや艦艇からの発射では、射程4nm（7.4km）の蛇行捜索パターンを使用します。捜索開始深度は125フィート (38 m)から1,400フィート (430 m)です。

初期段階ではパッシブ捜索を行い、その後アクティブ捜索に切り替えるモードも搭載されています。音響的射程は約1海里ですが、潜水艦に無反響タイルが装備されている場合、射程は25-50%短縮されます。螺旋捜索中は、次発の発射まで約5-10分間の待機が必要です。蛇行航走の場合、次発発射までの待機時間は2分以上となります。アクティブモードで同時発射を行うと、ソナー音の干渉により捜索誘導が困難になります。

現在使用されているMk.46 Mod.5は、浅深度での捜索能力が向上しています。対潜水艦魚雷の弱点である海底との衝突や海面への突出を避けるため、航走パターンと追尾用アクティブソナーの解析能力が強化されています。また、潜水艦からの魚雷攻撃に対する対抗魚雷としての使用も想定されています。

対抗手段

潜水艦からの対抗手段としては、短魚雷のアクティブモードに対し、FTC（False Target Can：擬似気泡缶）や高圧空気の放出（バブル）を使用することがあります。パッシブ追尾に対しては、NAE（Noise Augmentation Emitter：雑音発生器）で音響的視野を撹乱し回避を試みます。その他、温度境界層付近を航行して海中に航跡を作る、急加速、急旋回、急潜航などの機動によって魚雷を撹乱するなどの方法があります。

特徴

Mk.46は、最浅捜索深度の設定により、水上目標（シュノーケル航走中の潜水艦など）への攻撃可否を選択できます。目標速力は33ノットまで対応可能であり、原子力潜水艦への攻撃も想定されています。命中率は70-80%と言われていますが、実戦での戦果は報告されていません。

派生型と運用

アメリカ海軍は、1990年代初頭から、性能を大幅に向上させた次世代機としてMk.50（バラクーダ）を配備しました。しかし、高性能と引き換えに高価であったため、国防予算の縮小も影響し、Mk.46 Mod.5の配備も継続されました。その後、Mk.46のエンジンとMk.50の弾頭・誘導装置を組み合わせたMk.54も開発され、Mk.46と併用されています。

訓練用には、炸薬の代わりに染料パックが入った訓練用弾頭が用意されており、発射だけでなく回収訓練にも使用されています。また、Mk60キャプター機雷にはMk.46 Mod4が内蔵されています。

中国へMod.0型が4発供与されたことがあり、これとイタリア製A244を基にYu-7およびET-52が開発されました。Mk 32 短魚雷発射管を基にした3連装短魚雷発射管とともに、新造艦船やZ-9哨戒ヘリコプターに広く搭載されています。

Mk.46は、その汎用性と信頼性から、長年にわたり多くの国で使用され続けている傑作対潜魚雷と言えるでしょう。

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