Mk 82 (爆弾)

Mk.82（Mark 82）について

Mk.82は、ダグラス・エアクラフト社が開発した航空機搭載用の500ポンド（約227kg）爆弾であり、アメリカ軍が運用するMk.80シリーズの一部です。これは、低抵抗型通常爆弾（Low-Drag General-Purpose bomb, LDGP）としては二番目に小型のモデルで、世界中で最も一般的に使用されている空中投下型兵器とされています。Mk.82の重量は理論上500ポンドですが、派生型によっては510ポンドから570ポンドの範囲で変動することもあります。ここでの中心的な構造は、流線型の金属ケースの内部に192ポンド（約89kg）のトリトナール高性能炸薬を封入している点です。

開発と配備

Mk.82は単体での無誘導爆弾として使用可能ですが、使用される目的に応じて、安定翼や減速装置、信管、各種誘導キットを取り付けることで、誘導爆弾としての運用もできます。具体的な誘導キットの例は以下の通りです:

• - ペイブウェイII（レーザー誘導） - GBU-12
• - JDAM（GPS誘導） - GBU-38
• - LJDAM（レーザー/GPS併用誘導） - GBU-54
• - 91式爆弾用誘導装置（赤外線ホーミング誘導） - 日本の航空自衛隊のみ

1967年のアメリカ海軍の空母「フォレスタル」の火災事故は、Mk.82を含む爆弾の安全性についての重要な警告をもたらしました。この事故を受けて、アメリカ海軍は兵器システム爆発物安全評価委員会を設立し、爆弾の試験を行いました。テスト結果では、Mk.82の過熱による早期爆爆（コックオフ）の発生にはおよそ2分20秒を要するとされています。この爆弾は実際に湾岸戦争で4,500発以上のGBU-12（ペイブウェイII）としてイラクに投下されるなど、大規模に実戦投入されました。

低空運搬技術

航空機が低空で爆撃を行う際、自己投下した爆弾の爆風や破片によって損傷を受けることがあります。これは、航空機と爆弾が同時に目標近くに達するためです。Mk.82は、尾部に高抵抗フィンを装備しており、これにより「スネークアイ」と称されています。このフィンは、投下前に十字形に折りたたまれており、投下時にバネで展開します。展開したフィンはエアロダイナミクスを変化させ、爆弾の速度を低下させることで、投下機が目標から安全に離れるための時間を稼ぎます。

MK.82の派生型

Mk.82を基にしたいくつかの派生型も存在しています。それぞれの特徴は以下の通りです:

• - BLU-111/B: 地中貫通爆弾で、PBXN-109低感度爆薬を封入し、重量は480ポンドです。JDAMやJSOW（A-1型）の弾頭として使用されます。
• - BLU-111A/B: アメリカ海軍が運用するBLU-111/Bの改良型で、燃料火災からの誘爆を防ぐために熱防御コーティングが施されています。
• - BLU-126/B: 付随的被害を減少させる目的で設計されたタイプで、少量の火薬を使用しています。この爆弾は2007年3月から運用が開始され、その特徴から低付随被害爆弾（Low Collateral Damage Bomb, LCDB）とも呼ばれています。
• - Mk.36 DST・Mk.62 クイックストライク機雷: Mk.82を改造して作られた機雷です。

結論

Mk.82は、現代の航空作戦において欠かせない武器システムであり、その多様な運用形態や設計の柔軟性により、地上目標に対する効果的な打撃を提供します。

もう一度検索